
Every Little Thing(以下:ELT)のギタリストである、“いっくん”こと伊藤一朗さんは『仮面ライダー』ファンとしても知られている。それも、さまざまなグッズやガジェットを買い集め、それを分解し、リペアしたりカスタマイズしたりするという、筋金入りのマニアだったのである。
近年は、YouTubeチャンネル『ELT 伊藤 一朗 いっくんTV』でもライダー関連の動画を公開している。そこで本人を直撃し、今回はJ-POPのトップミュージシャンが子育てを通じてライダーに再ハマりしたきっかけを聞いた。
■平成ライダーでライダー愛が再燃!?
──1996年にELTのメンバーとしてデビューされてからは、大変にハードスケジュールな毎日を過ごされたと思うのですが、そこから平成ライダーにハマった流れを教えて下さい。
伊藤 今は、子どもに「Nintendo Switch」をひとり1台ずつ買い与えるのも当たり前の世の中だと思うのですが、あれって3万円もするものなんですよね。さすがに、それはやりすぎだろうなと思うんです。私が子どもを育てるにあたって、欲しいものを買ってやるのはお盆やクリスマス、誕生日ぐらいに制限していたんです。男の子なのですが、普段のおもちゃは安いミニカーや、食玩などで我慢させていました。ところがあるとき、家電量販店で『仮面ライダージオウ』(2018年)のグッズを欲しそうに見ていたんですね。5~6歳のころでした。
──『ジオウ』は、時計とカタカナをモチーフにしたデザインでしたね。
伊藤 それです。それまでは「こんなものすぐ飽きるし、買ってあげないよ」と言っていたんですが、なんとなく「まあ、買ってやるか」となって。そうしたら、子どもが動画配信サイトで昔のライダーを観るようになって、佐藤健さんが出演した『仮面ライダー電王』(2007年)や、桐山漣さんと菅田将暉さんの『仮面ライダーW』(2009年)に、ものすごくハマってしまって。
──お父さんのほうがですか?
伊藤 のちに私もハマるんですけど、まずは子どもです。自分が生まれる前の『電王』や『W』を観て、「次の誕生日はこれがほしい」と言い出したんです。それは「中古を探すしかない」という世界ですよね。ネットで検索して「ああ、こんなの売っていたんだ」なんて思いながら取り寄せたりしました。
──伊藤さんは、それまでにフリマサイトなどで、ネットで中古品を購入することは馴染みのある行為でしたか?
伊藤 いえ。私は中古のギターやエフェクターなどを買うとき、ネットではなく、実店舗を巡るのが当たり前だった時代を経験しているので。先輩のミュージシャンは、エフェクターを買うために飛行機でイギリスまで行っていましたしね。 私も、電話帳で楽器屋さんに片っ端から電話して「アレの在庫、ありますか?」と問い合わせた経験もあります。新幹線に乗って買いに行くことも、体に染みついていました。