■横浜の街並みとサザンが最高にマッチした『Sweat Season』

 最後は、1998年にTBS系で放送された『Sweet Season』を振り返る。横浜の街並みとサザンオールスターズの主題歌『LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜』がマッチした美しい映像と音楽が印象的な作品だ。

 OLの藤谷真尋(松嶋菜々子さん)は、上司の五嶋明良(椎名桔平さん)に恋をしてしまい、恋人・中鉢豊(袴田吉彦さん)に別れを告げる。明良には妻・千香子(とよた真帆さん)がいるが、彼もまた美しい真尋に惹かれ不倫関係になった。真尋は父(蟹江敬三さん)が不倫していたというトラウマから、不貞に嫌悪感もあったが、別れようとするたびに絆は強くなっていく。

 そんな矢先、真尋の妊娠が発覚。明良は妻に離婚を切り出すが、妻は裏切った夫と真尋を責め立て関係は泥沼化していく。妻は真尋を家に連れていくと明良との生活を見せ、「愛があれば何にもいらない? 暮らしてみなさい。生活ってね、もっとまぬけでうすのろなの。お金かかったりゴミが出たりするの」とシビアな言葉を投げかける。

 そして会社に不倫がバレると、事態は急展開を迎える。明良が豊に殴られた衝撃で頭を打ち、記憶喪失になってしまうのだ。

 真尋の努力も虚しく、明良は妻と良好な関係に戻り、転勤で妻と香港に向かうことに。だが、旅立つ直前に明良は記憶が戻り、真尋に思い出の鈴を渡す。

 そして数年後、真尋の前に明良の妻が現れ、離婚したことを告げる。それを聞いた真尋は思い出のバーに行き、再会した明良と晴れて結ばれるのだった。

 同作は、全体的に真尋の恋に注目が集まる描き方をしている。だが、大人になって振り返ると、結婚の現実を諭したり離婚原因は真尋じゃないと気遣ったりする妻の行動に胸が痛くなってしまう。

 不倫ドラマは、いつの時代も目まぐるしく変わる展開とドロドロっぷりから目が離せないもの。残念ながらどの作品も再放送される機会はほぼないが、もし視聴できたら、リアルタイムで見ていた当時と年齢とともに様々な経験を重ねた現在では、違う感想を持つ人が多いのではないだろうか。

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