『Age,35』『失楽園』『Sweat Season』…1990年代名作「不倫ドラマ」が描いた「禁断の愛」と「それぞれの結末」の画像
松嶋奈々子  写真/ふたまん+編集部

 現実世界では“ご法度”だが、テレビドラマというエンターテインメントの中では、昔から「不倫」を題材にした作品が数多く制作され、そのたびに人気を博してきた。人に言えない禁断の愛は、いつの時代も人の好奇心をそそるものなのかもしれない。

 特に、90年代は不倫を題材にした作品が多かった。トレンディドラマの影響を強く受ける時代ゆえ、ストーリーはドラマチックで、展開はジェットコースターのように目まぐるしい。また若い俳優がメインではなく、中年期に差し掛かった俳優たちが主軸となるため、同じ恋愛を描くにしても“重さ”が際立っており、つい目が離せなくなってしまうもの。

 そこで今回は、90年代に放送され人気を博した「不倫ドラマ」の名作を振り返っていきたい。

※本記事は、各作品の核心部分の内容を含みます。

■W不倫の危険な恋に落ちていく『Age,35 恋しくて』

 まずは、1996年4月クールにフジテレビ系で放送された『Age,35 恋しくて』。柴門ふみさんの同名漫画を原作にしたドラマで、35歳の夫婦のW不倫を題材に、シャ乱Qの主題歌『いいわけ』とともに大ヒットを記録した作品だ。

 朱美 (田中美佐子さん)と双子の子どもと幸せに暮らしつつ、常務秘書の照井ミサ(瀬戸朝香さん)と不倫中の島田英志(中井貴一さん)。物語は、不倫に終止符を打とうとした英志が、ミサから妊娠を告げられるところから始まる。

 英志は不倫を続け、ついには妻にバレてしまう。朱美は、子どもたちのために結婚生活を続けたが、その裏で朱美も大学の同級生で陶芸家になった成瀬シン(椎名桔平さん)と再会し、関係を深めていく。

 その後、ミサとシンが姿を消し、夫婦は再び再構築の道を進む。だが、戻ってきたシンと朱美が一線を超え、朱美が離婚を申し出たことで英志は家を出る。時が経ち、子どもの発表会で再会した英志と朱美は、子どもたちが「グリーングリーン」を歌いながら泣き出す姿に胸を痛め、もう一度やり直す選択をとった。

 不倫モノはここで終わるケースも多いが、同作はラストでどんでん返しが待っている。7年後、飛行機の墜落事故を回避したシンが朱美の前に現れてプロポーズし、子どもたちの海外留学を機に夫婦は離婚してしまうのである。そして、一人になった英志も空港でミサと偶然再会し、改めて結ばれる。

 W不倫から夫婦揃ってハッピーエンドというまさかの展開に驚くが、長年振り回されてきた子どもたちを思い、なんとも切なくなってしまったのは筆者だけだろうか。

■一大ブームを巻き起こした不倫作品の代表格『失楽園』

 1997年には、社会現象を巻き起こした不倫ドラマ『失楽園』が登場する。同作は、究極の愛に生きた男女の数奇な運命を描く渡辺淳一さんの小説を実写化した作品で、性描写も多い刺激的な物語だった。

 実写化作品は、同年5月に公開された役所広司さん&黒木瞳さん主演の映画版と、7月に日本テレビ系で放送された古谷一行さん&川島なお美さん主演のドラマ版があり、どちらも特大ヒットを飛ばしている。この年には『失楽園』が日本新語・流行語大賞の年間大賞にもなり、まさに一大ムーブメントを築いたと言えよう。

 ドラマ版の物語は、編集部から左遷に合い、調査室への移動を命じられた久木祥一郎(古谷さん)が、友人からの依頼で行ったカルチャーセンターで書道講師の松原凛子(川島さん)と出会い恋に落ちるというもの。久木は、美しい凛子にベタ惚れし、そんな久木の想いを受け不倫への抵抗があった凛子も愛の沼にハマっていく。

 出張と偽り、旅行に行ったりホテルで密会したりと逢瀬を重ねて激しく体を求めあう2人は、マンションまで借りるなど、大胆になっていく。だが幸せは長く続かず、凛子の夫・晴彦(国広富之さん)と久木の妻・文枝(十朱幸代さん)に不倫がバレてしまう。

 晴彦があえて離婚しない道を選んだ一方、文枝は離婚を申し出る。さらに久木の会社に匿名で不倫を告発する文書が届き、いよいよ2人は追い詰められていく……。

 だが世間の目に反して愛は燃え上がり、2人は全てを捨てて逃避行に出る。そして、愛の絶頂で死を求め、静かな宿で体を求め合いながら青酸カリ入りのワインを飲み、繋がった状態のまま心中するのだった。

 同作はテレビドラマではありながら、これでもかというほど濡れ場が頻繫に差し込まれる作風も話題に。アダルトで美しい演出の数々が多くの視聴者を惹きつけた理由だろう。50歳男性と38歳女性の愛の逃避行と聞くと少々生々しいが、こんな愛の形もある……のかもしれない。

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