■覚醒ブロリーを前に弱音を吐く

 1994年に公開された『ドラゴンボールZ 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』では、ベジータの「ヘタレシーン」が登場する。

 この映画はブロリーが初登場した作品で、「伝説の超サイヤ人」とも呼ばれる彼のケタ違いの強さを突きつけられた。作中で、ベジータは超サイヤ人になったブロリーを目の当たりにすると、完全に戦意を喪失……。膝をつき、身動きすらとれなくなる。

 こんなことになったのは、純粋なサイヤ人であるベジータは、ブロリーの恐ろしさを“本能的に”感じたからだ。それにしても、「殺される、皆殺される」「勝てるわけがない」「もうダメだ」と弱気な発言を繰り返し、戦闘に参加しようとすらしない姿は衝撃だった。

 そんなベジータを見たピッコロは怒って、「何がサイヤ人の王子だ」と罵っていた。その後「離せ」と言いながら無理やり戦場に連れていかれるのがなんとも情けない……。ここまで無気力なベジータは初めてだった。フリーザとの戦いで見せた以上にひどい戦意喪失だったのではないだろうか。 

■ブルマの誘惑に負ける

 シリーズ最新作である『ドラゴンボールDAIMA』にも驚きのシーンがある。それは、第19話でのキング・ゴマーとの戦いの最中に起こった。

 ベジータはあくまでも1対1にこだわり、自分だけでゴマーを倒そうとしていた。そんな独りよがりな彼に対し、ブルマは「これ以上やるんだったら、もう絶対に、一緒にお風呂に入ってあげないからねー!」と衝撃のセリフを叫ぶ。

 しかもブルマのそんな発言を受け、ベジータは驚くべき速さで皆のところに戻ってきて、おとなしく身を引いた。それまで意地を張っていたのがまるでウソだったかのようだ。腕を組んで「しょうがない、交代してやる」などとかっこつけているが、もちろん周りは(視聴者も?)ほとんどがドン引き。どれだけブルマのことが好きなんだ……。

 しかし、それがベジータの良さでもある。ベジータはなんだかんだいってもブルマを大切に思っているのだろう。

 普段の言動からそんな様子はあまり感じられないが、こういった場面で垣間見えるのはファンとしても嬉しいことである。もっと見せてほしいと思ってしまったほどだ。

 

 ベジータは作品とともに変化・成長してきたキャラであり、性格の変化を見るのがとても楽しい。妻子を持ったのをきっかけに、人間味を感じさせる場面がどんどん増えてきているので、これからもいろんな一面を見せてほしいと思う。

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