
国民的ゲーム『ポケットモンスター』の記念すべき第1作『ポケットモンスター 赤・緑』は、いわゆる「バグゲー」としても有名な作品だ。プレイヤーに有利なバグをわざと引き起こす“バグ技”の宝庫だった『ポケモン 赤・緑』を、とことんやりこんだ子どもは数多いだろう。
だが、続編『ポケットモンスター 金・銀』にもバグ技があったことはご存じだろうか。『ポケモン赤・緑』時代のバグは残念ながら(?)修正されたが、実は前作にひけをとらない、いや、考えようによってはもっとすごいバグ技が存在したのだ。
今回は、そんな『ポケモン 金・銀』の知る人ぞ知る驚異のバグ技をご紹介しよう。
※紹介する技により、ゲームデータを損ねる可能性があります。本記事は過去の体験記であり、技の再現を推奨するものではありません。
■セレビィもマスターボールも増やし放題! お手軽なのに強すぎる“増殖バグ”
「伝説のポケモンは1つのセーブデータに1匹しかいない」
これは、あの頃の『ポケモン』を遊んだ人たちにとっては常識だろう。ホウオウやルギアといった伝説のポケモンと戦う前は必ずレポートを書いたし、入手困難な幻のポケモン・セレビィをゲットしたらとても嬉しかった。
だが、バグ技はそんな常識すら変えてしまう。これから紹介する、通称“増殖バグ”と呼ばれるバグ技は、端的にいうと「好きなポケモンを自由に増やせる」技だ。チートすぎる。
やり方はとても簡単だ。まず、増やしたいポケモンを手持ちからパソコンのボックスに預ける。それからボックスを切り替えると、仕様上強制セーブが始まる。そして「ポケモンレポートに かきこんでいます でんげんを きらないで ください」との表示が出たら、すばやく電源を切る!
その後、再びゲームを始めると、不思議なことに預けたはずのポケモンが手持ちにおり、ボックスにも残っているのだ。ちなみに電源を切るタイミングに少しコツが必要で、筆者は「でんげんをきらな」と表示された瞬間に電源を切ったらよく成功していた気がする。
“増殖バグ”を使えば貴重な伝説のポケモンも手に入り放題だ。友達には幻のセレビィの増殖に挑戦し、成功した「養殖セレビィ」をみんなに配るやつもいた。
しかも、“増殖バグ”はポケモンに持たせていた道具も増殖するため、絶対にポケモンを捕まえられる超レアアイテム“マスターボール”も増やし放題だ。ゲームバランスも何もあったものではないが、子どもにとっては、裏技のほうが魅力的だったのだ。
■見た目はコイキング、中身はルギア!? 外見を自在に変えられた“虫取りバグ”
『ポケモン金・銀』には、特定の曜日だけ遊べる「むしとりたいかい(虫取り大会)」というイベントがある。むしポケモンが出現する“しぜんこうえん”で、一番強いむしポケモンをゲットできるかをNPCと競い合うシンプルな遊びだ。一見のどかな催しに思えるが、実は「バグ技の聖地」とも呼ぶべきイベントだったりする。
「むしとりたいかい」で実行できるバグ技は、「ポケモンの外見を好きなポケモンのものにする」というもので、その名も“虫取りバグ”。手順はかなり複雑なので説明は省略するが、成功すると、手持ちの6番目に置いていたポケモンの見た目が手持ちの2番目のものに成り代わる。
例えば、手持ちの2番目に最弱候補で有名なコイキングを、6番目に伝説のポケモン・ルギアをそれぞれ置いた状態で“虫取りバグ”を実行すると、「ルギアの能力や技を持ったコイキング」が誕生するのだ。
後年になって知ったことだが、“虫取りバグ”の原理は、ポケモンの外見と中身(能力や技など)をそれぞれ別のデータで管理するシステムを利用したものだった。当時の筆者や友達は、そんな難しい話はもちろん知らなかったし、気にもしなかった。ポケモンの見た目を変えられるのが面白い、ただそれだけだったのだ。