■一途すぎる愛に恐怖する戸田恵梨香の名エピソード
『世にも奇妙な物語 '08春の特別編』で放送された『これ……見て……』での戸田恵梨香さんの役も恐ろしいものだった。
同作の主人公は、光一という彼氏を持つ、戸田さん演じる女性・あさみ。彼女はある日、不思議な少年と遭遇し「これ……見て……」と、ビデオカメラに映る未来の映像を見せられる。
毎回その映像に映ったことと同じ未来の出来事が起こり、あるときその映像に彼氏の部屋にいる怪しい女が映ったことで、あさみはそこに乗り込むのだが……。
この話のオチは、実はストーカーだったのはあさみのほうだったというもの。可憐でかわいらしいあさみが、ラストにかけてスイッチが入ったように豹変する様子が恐怖度満点の一本だ。
戸田さんといえば、いわゆる「ヤンデレ」の役が多いように思う。映画『DEATH NOTE』の弥海砂役もその最たるものだが、一人の人を一途すぎるほど愛する役どころがあまりにハマっており、『世にも奇妙な物語』でも視聴者にトラウマを与える恐怖演技を見せつけた。
最後は『世にも奇妙な物語’19秋の特別編』で放送された、『鍋蓋』で主人公・直美を演じた杉咲花さんを振り返りたい。
杉咲さん演じる、彼氏なしの少し地味な会社員・直美は、ネットのショッピングサイトでオススメされた商品を買うことで次々と幸運を手にしていく。そして、周囲からも一目置かれる存在になるが、やがて奇妙な世界に巻き込まれるというダークなストーリーだ。
オススメ商品を買い続けることで垢抜けていき意中の人との距離を近づけていく直美。しかしそんな中、彼の二股疑惑が浮上し、ショッピングサイトからは使い道が分からない鍋蓋や、スコップ、手袋、包丁がオススメされる。その後、直美は恋のライバルを倒そうとするのだが、最終的に鍋蓋がいい働きをして、その計画は失敗に終わる。
『鍋蓋』は上記2作とは違いホラー作品ではないものの、杉咲さんの豹変が印象的なエピソードだ。はじめは地味だった女性が垢抜けて自信をつけていき、そしてライバルの女性を恨めしく睨む……。女性の怖い面が描かれるエピソードであり、人間は環境や状況次第で簡単に変わってしまうということを再認識させてくれる。ある意味では一番リアルな怖さを持った作品ではないだろうか。
女優たちの豹変演技が怖すぎたエピソードたち。特に彼女らが異常なほどに笑っている顔には底知れない怖さを感じてしまう。きっとこれからも『世にも』女優たちは我々を奇妙な世界に誘ってくれるだろう。