■冷静に戦況を見つめて…「悲しいけど これ戦争なのよね」
同じく第36話「恐怖!機動ビグ・ザム」後半にて。
ドズル・ザビの操る巨大MAビグ・ザムは、ビームを無効化する「Iフィールド」を展開し、強力なメガ粒子砲で次々と連邦軍の艦艇を沈めていた。
その危機的戦況のなか、スレッガーはアムロにガンダムとGファイターを合体させ、Gアーマーで突撃するよう指示する。先端のGファイター部分を盾にし、その隙にガンダムでビグ・ザムにとどめを刺そうというのだ。まさに命を賭けた捨て身の作戦だった。
そんな作戦は無茶だと戸惑うアムロ。しかし、スレッガーはどこか達観した表情でこう言い放った。「悲しいけど これ戦争なのよね」と。
カムランとミライの言い争いのときには、あれほど熱い姿を見せていたスレッガー。しかしここでは感情を押し殺し、冷静に戦況を見つめていた。動揺を見せなかったのも、この後、自分の壮絶な最期を目撃してしまうかもしれないアムロへの、せめてもの配慮だったのかもしれない。
そして突撃を仕掛けるスレッガーとアムロ。ビグ・ザムの巨大な足に捕まり、スレッガーはコックピットごと粉砕され、宇宙に投げ出され戦死してしまう。その姿を見届けたアムロはGアーマーの合体を解き、雄たけびとともにガンダムのビームサーベルでビグ・ザムにとどめを刺すのであった。
スレッガーの覚悟とも感じる「悲しいけど これ戦争なのよね」という言葉は、彼を象徴する名セリフとして、今なお語り継がれている。
スレッガーの戦死の報告を受けたミライは、寂しげに涙を流した。
飄々とした態度の裏に熱い気持ちを秘め、ここぞという場面では自分の命を懸けることができる男。それがスレッガー・ロウだった。
彼の言葉は軽妙に聞こえながらも、その裏には覚悟と重みがある。だからこそ、大人になってからあらためて聞くと、より深く心に響くのだろう。
スレッガーのセリフ、そして彼の生き様は、これからもファンの心に刻まれ続けるに違いない。