■『ドラクエ6』夢の世界で自由に空を飛ぶ……寝たきりのまま不治の病で亡くなったジョン
『ドラゴンクエストVI 幻の大地』では、クリアベールの町で泣けてしまうイベントがある。夢の世界のクリアベールでは「空飛ぶベッド」の噂が広まっており、北東の民家にはカギがかかって入れないのだが、墓の前で一人の男性が「ここには ボクの 大切な ご主人さまが 眠っているんです。」と教えてくれる。
そして町を出て西にある階段に向かうと、現実のクリアベールの町に行くことが可能。ここでは、北東の民家に住むジョンという少年が、わずか10歳で不治の病によって亡くなったことが判明。それだけでも切ないのだが、ジョンは生まれてすぐに寝たきりになったという。家の前にある墓では犬が寂しそうに鳴いており、夢の世界の男性とリンクしていることがうかがえる。
さて、ゲーム進行には空飛ぶベッドが必要であり、そのためにはジョンが心待ちにしていた旅芸人・パノンが持ってくるはずだった「勇気のバッチ」の素材となる「勇気のかけら」を手に入れないといけない。やがて「運命のカベ」の頂上で「勇気のかけら」を手に入れ持っていくと、ジョンの親は感激し、主人公たちにジョンの部屋で泊まるよう勧めてくる。
そうして夢の世界に入ると、ベッドが宙に舞ってジョンが登場し、「ボクには もう 必要ないんだ。だって 自由に 空を とべるようになったんだもん。」と空飛ぶベッドを譲ってくれる。
そのまま空を飛ぶのではなく、寝たきりのジョンだからこそベッドで宙を舞うというのがなんともグッときたものだった。
学生時代にプレイしたときにも切なくなったのだが、親になってからプレイしたら号泣必至のイベントとなってしまった。空飛ぶベッドは夢の世界でしか使えないのも、何かと考えさせられる。
『ドラゴンクエスト』シリーズには見事なまでにウルっとさせられてしまうシーンが多く見られる。重厚なストーリーの陰にある1つ1つのシーンにまで味があって、ドラクエが名作であることを物語っているといえるだろう。
子どもの頃も心に刺さったが、大人になってから改めてプレイしてみるとよりいっそう感慨深いものである。