
1996年2月27日に発売されたゲームボーイ用ソフト『ポケットモンスター 赤・緑』。当時から大きな話題を呼んだ大ヒットゲームで、今でもシリーズの新作が作られ続けている。
ただし、『ポケモン赤・緑』のゲームバランスはお世辞にも「良い」と言えるものではなく、強いタイプと弱いタイプの格差が後の作品と比較してもあまりに大きい。特にエスパーとこおり、ノーマルタイプは技や弱点の関係から対戦でも猛威を振るった。
そしてその陰には、本来強いタイプの対抗馬になるはずが、さまざまな理由で「不遇」と言わざるをえない扱いを受けていたポケモンたちがいた。筆者も小学生ながら「強いはずだ」と思って一生懸命育てていたが、蓋を開けてみれば意外な弱さに絶望した経験がある。
今回はそんな「想像以上に弱かったポケモン」たちについて、その弱さの理由とともに振り返っていきたい。
■伝説の三鳥の一角のはずが!?
『ポケモン赤・緑』で不遇なポケモンと聞いて、「ファイヤー」を思い浮かべる当時のプレイヤーも多いのではないだろうか。数少ないシンボルエンカウントのポケモンで、エンディング前の最後のダンジョン「チャンピオンロード」で捕まえることができる。
『ポケモン赤・緑』には伝説の鳥ポケモンが3体存在しており、他の2体「フリーザー」と「サンダー」は強力なポケモンで、それぞれレベル51で「ふぶき」と「かみなり」という各タイプの最強技を覚えることができた。
小学生当時の筆者もこの2体を使用しており、3体目のファイヤーも捕まえてワクワクしながら育てた記憶がある。しかし、レベル51になって覚えた技がなんと「にらみつける」……守備力を下げる技で、冒険初期に出会う「オニスズメ」がレベル9で習得するものだ。
「それでも」と奮起し育て続けたが、レベルアップで覚えるほのおタイプの技は「ほのおのうず」のみで、当たりにくく威力も低いためどうにもできない。フリーザーとサンダーを残し、ファイヤーをそっとポケモンボックスにしまったのが悲しい思い出だ。
当時はほのおタイプ自体が不遇と言われており、弱点を突けるはずのこおりタイプのほとんどがみずタイプとの複合であり、逆に弱点を突かれて返り討ちにされていた。一応「ほのおのうず」は当てられれば相手は何もできなくなるため、ファイヤーには「どくどく」と合わせて削る戦法もあったが、小学生にそれを思いついて実行するのは難しいだろう。
■貴重な通信進化ポケモンなのに
ポケモンには、通信交換の結果進化する特殊なポケモンが存在する。『ポケモン赤・緑』からこの「通信進化」は存在しており、その中でもエスパータイプの「フーディン」やゴーストタイプの「ゲンガー」は強力なポケモンだった。
その中の一体である「カイリキー」はかくとうタイプ。当時対戦で猛威を振るったノーマルタイプの「ケンタロス」の弱点を唯一つけるタイプのため、友達に頼んで通信進化させたカイリキーをまた自分に戻してもらうという方法で、なんとか手に入れ育てていた。
しかし、いくらレベルを上げてもまともな技を覚えず、レベル52で覚える「じごくぐるま」は命中、威力ともにイマイチで、与えたダメージに応じて自分も反動を受けるという使いにくさだった。
ケンタロス相手に立ち回りたくても、当時はエスパータイプのポケモンをほぼ全員が使っていたため、素早さの遅いカイリキーはエスパーに返り討ちに合うことが多かった。その後の『ポケモン金・銀』で追加されたあくタイプとはがねタイプの両方にかくとうタイプは有利であり、それだけ『ポケモン赤・緑』世代では不遇だったことが分かる。