悲しい過去と愛らしい素顔…アニメ『ポケットモンスター』にくめない悪役「ロケット団」の意外な一面の画像
アニメ『ポケットモンスター』公式Xより

 アニメ『ポケットモンスター』の憎めないキャラの代表格といえば、ロケット団の3人組だろう。アニメのポケモン世界におけるロケット団は、珍しいポケモンや強いポケモンを集めた最強のポケモン軍団で世界征服をするために行動する組織ではある。だが「ロケット団」と聞けば、1997年のアニメ開始当初から2023年の第7シリーズまでレギュラーキャラとして登場していたムサシ、コジロウ、ニャースをまずはじめに思い浮かべることだろう。

 ムサシ、コジロウ、ニャースはもともとは、ロケット団のボス・サカキから直接命令が下される優秀な立場にあった。しかしサトシたちに出会って以降は失敗の連続で、気づけば下っ端にまで落ちぶれてしまったのだ。

 カントー編のポケモンアニメいえば、この3人組がサトシのピカチュウを強奪しようとしたりサトシたちの邪魔をしようとしたりし、毎回「なんだかんだと聞かれたら」から始まる小気味よい口上とともに登場し、結局は敗北し、「やな感じ〜!」と言いながら去っていくのがお約束の流れとなっている。

 愛すべき悪役として子どもたちにも人気が高い彼ら。しかし、同作の様式美を担う3人組のプライベートな部分や過去の姿が描かれるエピソードはレアで、多くの視聴者にとっては意外と知られていないかもしれない。

■ムサシの苦労の少女時代と、コジロウの苦悩の過去

 まずは、紅一点のムサシ。自慢のかっちりと固めた長い赤髪にスタイル抜群の美貌を持つ、高飛車な姉御肌の性格の彼女だが、その過去は意外にも紆余曲折あったようだ。

 たとえば「さよならドクケイル!」のエピソードでは、彼女が幼い頃にアイドルを目指しており、ボーイフレンドと別れてまでオーディションを受けたことがあったという過去が描かれたり(ちなみにオーディションは落選し、恋も夢も叶わなかった)、「ハピナスのハッピーナース!」ではムサシがラッキーとともに看護学校へ行っていた過去が描かれている。

 このように、今とは違った初々しい姿が描かれることがまれにあるムサシだが、1998年に放送された「イワークでビバーク」ではおばあさんと貧乏生活をしていた過去が明らかに。小さい頃に雪が降るとご馳走として雪おにぎりや雪海苔巻きなどの雪料理が食べ放題だったという過去が語られており、どちらかというとゴージャスなイメージのある今のムサシとは大きなギャップがある。

 貧しい食生活をしていたために大人になっても味オンチであり、カスミが料理を作った際、皆が「まずい」という中でムサシだけが「おいしい」と料理を食べていたことがある。事情を知ると少し切なくなるが、そんな過去の苦労をみじんも感じさせない彼女はやはりかっこいい。

 そんなムサシと対照的な幼少期を送ってきたのが相方のコジロウ。実は彼は世界有数の大財閥の御曹司であり、家庭教師が23人いたり、食事ではテーブルマナーを叩き込まれたり、ピアノやバイオリンなどたくさんの習い事をさせられたりしていたという。

 しかも、子ども時代にロケットを買ってもらって遊んだことがあるという、周りとは規模がケタ違いの金持ちエピソードも持っている。

 コジロウのそんな金持ちの過去はアニメ『ポケットモンスター ダイヤモンド&パール』153話「危険がいっぱい!コジロウの宝箱!!」でも明らかにされているが、彼が一見恵まれた生活に嫌気がさしたのは、両親が決めた許嫁と結婚させられそうだったから。彼はこれを機に家出をし、最終的にロケット団に入る。ちなみにその許嫁の外見はムサシそっくりであり、なんとなく因果のようなものを感じてしまう。

 コジロウは初期はナルシストキャラだったものの、物語が進むにつれてどんどんお人よしでヘタレな性格が目立ってくる。趣味は瓶の王冠集めだったりと、オタク気質でもあるようだ。

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