ファミコン初期のアクションゲームは難易度にバラつきも多く、歯ごたえがありすぎるものも多かった。なかには、可愛らしいキャラが登場し、一見やさしいイメージなのに、いざプレイしてみると難しい……そんなことも珍しくなかった。
そこで今回は、ドット絵の可愛いキャラが登場するのにもかかわらず、難しさに手を焼いた、ファミコン初期のアクションゲームを振り返っていこう。
■迫るナッツの動きを予測! シンプルな操作でもやり甲斐があった『ナッツ&ミルク』
1984年7月にハドソンから発売されたのが『ナッツ&ミルク』だ。主人公であるピンク色の可愛いミルクを操作し、ライバルのナッツによる追跡をかわしながらステージ上のフルーツを全部食べると恋人のヨーグルのもとへ行ける。
ナッツは基本的に追いかけてきて邪魔してくるのだが、ミルクは攻撃ができない。なので、ロープを上り下りしたり、ジャンプで飛び越えるなど、タイミングを見計らって移動するのがポイントとなる。しかし、高いところから落ちるとミルクは気絶してしまうため、気を付けないとナッツにつかまってしまう。まあ、気絶をして横向きで寝そべるミルクもまた可愛らしいのだが。
操作は十字ボタンで左右移動とロープの上り下り、ABボタンはジャンプといたってシンプル。ただ、よく考えないといつの間にかナッツに追い込まれてしまい、焦ってジャンプでミスをしてしまうこともしばしば……。
“このくらいなら大丈夫”とジャンプして土管に落ちたら気絶……なんてこともよくあり、詰め寄られたナッツに捕まってゲームオーバーになることも多かった。だが、ナッツの動きを予測し、ロープを上るふりをして待機するなど、瞬時に作戦を立ててロープやブロックからナッツが落ちていく様子を見届けるのはテンションが上がったものだ。
■ドアに敵を閉じ込めよう! 頭を使う難解さもあった『ドアドア』
1985年7月にエニックス(現:スクウェア・エニックス)から発売されたのが『ドアドア』だ。帽子をかぶったチュン君がエイリアンたちをドアに閉じ込めるというシンプルなゲームながらなんとも奥深く、長く楽しめたゲームである。
チュン君を十字ボタンで移動させ、階段やはしごを使ってナメゴン、オタピョン、インベ君、アメちゃんという4種類のエイリアンから逃げなければならない。こちらから攻撃はできないのでうまく誘導してドアに閉じ込めるのだが、取っ手がある方向からしか閉めることができないので注意が必要だ。
敵であるエイリアンの見た目も可愛いのだが、チュン君にいたっては十字ボタンを使っていない停止時、正面を向いて片足を使って足踏みする様子がなんとも愛らしい。
だが、この『ドアドア』は可愛らしいキャラとは裏腹にかなり頭を使うゲームでもある。挟み撃ちにならないように階段やはしごで待機し、追い掛けてくるエイリアンの移動先を上手に誘導するのがポイントだ。
ジャンプでかわすこともできるが、オタピョンだけはジャンプでは飛び越せないし、インベ君やアメちゃんははしごを使える。これら敵キャラの特徴も把握することが大切だった。また上下の段を移動するときには、エイリアンだけが使えるアミがある。油断すると捕まってしまうので、先を見通して動かないといけない。
また、ドアを開けっ放しにしておくと、中に入ったエイリアンは逃げ出すことができる。そして半ドアにしておくとエイリアンはドアの中に入らず通過するのだが、この特性を使ったテクニックもあった。
まず、距離が離れて追いかけてくるエイリアンのうち、先頭をドアに入れて半ドアにしておく。2番目のエイリアンがそのままドアを通過すると、最初に閉じ込めた先頭のエイリアンがドアから出てくるので、2匹の間隔が狭まる。そうして2匹をまとめて誘導し、ほかのドアに閉じ込めるという方法だ。
なかなか難しいのだが、一度にたくさんのエイリアンを閉じ込めると高得点になるので、チャレンジしたものだ。シンプルながら戦略性もあり、やり甲斐のあるゲームだった。