■上下左右と逆の動きをする2人の可愛いペンギン…抜群の面白さだった『バイナリィランド』

 1985年12月にハドソンから発売されたのが『バイナリィランド』だ。鏡の迷路に閉じ込められたペンギンのグリンorマロンを操作して、2人同時に出口にあるハートにたどり着けばステージクリアとなる。

 可愛らしいペンギンで、ハートをゲットするとキスをするのがなんとも愛らしい。だが、ゲーム自体は抜群に難しく、まったく可愛らしくない……。

 というのも、中央を挟んで右の迷路にグリン、左の迷路にマロンが配置されているのだが、彼らはなんと、終始“逆の動き”をしてしまうからだ。

 プレイヤーはどちらかを最初に選択する。たとえばグリンなら十字ボタンの右を押すと右に動くが、マロンは左に動く。上下も同様に2人が真逆の動きをするから厄介だ。しかも、左右の迷路の障害物の配置も違うし、敵キャラのくもや、ひっかかると動きを封じられるくもの巣もあるので、選択したキャラだけを見ていてもダメなのである。

 一応、くもやくもの巣を退治できるスプレーを持っているものの、慣れるまでは操作していないほうのペンギンが思惑と逆の動きをしてしまうことが多い。しかも、途中からは両者の位置を入れ替えるトリも登場してくる。入れ替えられてしまうと、なにがなんだか分からなくなってしまうのだ。

 ちなみにゴールにあるハートは1人だと通過できるので、万が一、くもの巣に引っかかってしまった場合、向こう側に回り込んでスプレーで助けることができる。ただ、そうなると2人が同じ迷路で逆の動きをするので、これまた頭が混乱した。無敵状態になるアイテムもあるので、それを取るとテンションが上がったものだ。

 とにかく頭を使うので、今プレイしても夢中になるほど面白い。アイデア勝負といえる当時においてもこんなゲームを考えられるなんて、開発陣のセンスには脱帽してしまう。

 

 ファミコン初期は容量の関係もあったため、思い通りのゲーム性を実現するのもなかなか難しかっただろう。だが、これらのゲームはアイデアが満載でなんとも面白く、熱中させてもらった。

 ドット絵で可愛らしいキャラを作成するのも見事だが、決してほのぼのとした内容にならない。ひたすら頭を使って手に汗握る展開に持っていけるのは、レトロゲームの素晴らしさであり、醍醐味だと思う。

  1. 1
  2. 2
  3. 3