『ベルばら』ファンのひとりとして劇場版への思い

――収録の際に心掛けたことを教えてください。

黒木 アントワネットがオーストリアからフランスのルイ16世のもとにお嫁に来るところから始まり、1789年の革命の時代へと徐々に変わっていく。その物語の案内を、初めて『ベルばら』の世界を見るお客様にも、分かりやすく伝えるというところは気を付けなければと思いました。映画を見終わっての余韻も大事にしなければいけません。実際にできたかどうかは、自分ではなんとも……なので、ぜひ皆さまのご感想を聞きたいです。

――出来上がった作品を見て、『ベルばら』ファンとしてはいかがでしたか?

黒木 オスカルとアンドレ(・グランディエ)の物語にフォーカスして、オスカルの“自由・平等・友愛”への志のブレなさ、信念の潔さといったところが描かれていました。登場人物は多くなくて、本当はもっとエピソードがたくさんあるのですけれど、映画として分かりやすいし、感情移入しやすいと思いました。きちんとメッセージが伝わる作りになっていると思います。

(C)池田理代子プロダクション/ベルサイユのばら製作委員会

――『ベルばら』といえば、宝塚の舞台がさらに人気を押し上げた作品でもあります。黒木さんが宝塚で好きだった場面は登場しましたか?

黒木 アンドレの秘めた恋心をオスカルが知るあたりが好きです。あのふたりの場面は宝塚でも名場面ですし、「やっぱりいいな。心にくるな」と思いながら見ましたし、内容を知っていても感動します。

――後半のフランス革命パートでは、オスカルが立ち上がっていきます。

黒木 今回は劇場アニメですので、宝塚のようにダンスはありませんが、劇場アニメならではのダンスに勝る迫力があり、のめり込みました。それに宝塚とはオスカルとアンドレの最後の場面が少し違うんです。感情の機微をより細かく描いているので、感情移入しやすいんじゃないかなと思います。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4