連載30周年!『りぼん』唯一無二のギャグ漫画・津山ちなみ『HIGH SCORE』の面白さを語り尽くすの画像
アニメ『HIGH SCORE』公式ホームページよりⓒChinami Tsuyama/SHUEISHA Inc.All right reserved

 1994年、15歳という若さで漫画家デビューを果たした津山ちなみ氏。彼女の代表作といえば、デビュー作であり現在も『りぼん』(集英社)で連載が続くギャグ漫画『HIGH SCORE』だ。

 デビューから30年経った今も『りぼん』を牽引する本作。「大人になっても『HIGH SCORE』だけは買っている」という、当時の“りぼんっ子”も少なくないと聞く。

 そんな唯一無二のギャグ漫画『HIGH SCORE』の魅力を、今回はたっぷりとご紹介したい。

■個性のぶつかり合い! 魅力的なキャラクターたち

 『HIGH SCORE』の主人公・藤原愛実は、首引高校の“三大美少女”に数えられるほどの美少女だ。だが、我が儘で贅沢、そして成績も悪い……となかなか破天荒である愛実は、自身の美貌を活かしてやりたい放題の日常を送っており『りぼん』の主人公には珍しい(!?)小悪魔キャラでもある。

 このように主人公からしてかなり濃いキャラクターである本作だが、脇役たちも引けを取らない個性の持ち主ばかりなのも特徴だ。

 まず特筆すべきは、コミックの表紙にたびたび登場する“ダマ先生”こと多摩薫。首引高校の音楽教師として勤務する彼は、メガネやカラーコンタクトによって骨格や風貌、性別までも変わってしまう不思議な体質をしている。

 その素顔は絶世の美男子なのだが、多摩自身は視力が悪いため、メガネがない状態の自身の素顔を見たことがない。そんななんとも切ない事情を抱えているところも、彼が愛されるゆえんだろう。

 そして、本作のなかでも異彩を放つのが、“ゴンちゃん”こと白鳥鞠生だ。愛実の従兄弟で、愛実にそっくりな顔立ちをした美少年・羽柴泉水の守護霊として登場するゴンちゃんは、なんとちゃぶ台に手足が生えた姿をしており、別名“ちゃぶ台妖怪”と呼ばれている。

 奇妙な風貌をしているが、性格はとても明るく時に乙女で、本作屈指の愛されキャラでもある。筆者も子どもの頃に『HIGH SCORE』を読んでいたが、ゴンちゃんの強烈な存在感は今も記憶に刻まれている。

 主役から脇役に至るまで魅力的なキャラクターが多い『HIGH SCORE』。このようにそれぞれの個性が際立っていることも、長期間にわたって読者を惹きつけ続ける理由なのだろう。

■強烈な主人公がモテモテ! 今やスピンオフ作品にも?『オヤジ女子高生☆』

 それぞれのキャラの個性が爆発している本作のなかでも、ゴンちゃんに並ぶインパクトを放つのが、“モコ”こと星の宮モモコだ。

 モコはオヤジのような見た目をしており立派なヒゲまで生えているが、なぜか異性からモテモテの女子高生である。モコは愛実のクラスメイトで漫画家の喜多川幹彦が、「マドモアゼルゆみこ」のペンネームで連載している漫画『オヤジ女子高生☆』という作品の主人公として登場する。

 『オヤジ女子高生☆』は『HIGH SCORE』世界のなかでは大人気漫画のようで、作中では生徒たちが夢中になって読んでいたり、小学生までモコのモノマネをしている描写もある。

 作中作として人気を博していた『オヤジ女子高生☆』だが、ついには本編を飛び出して単独掲載されるまでに成長。なかには『オヤジ女子高生☆』目当てで『HIGH SCORE』を読むファンも登場するほど、確かな地位を確立している。

 このように、ゴンちゃんにはじまり、ダマ先生やモコなど、濃すぎるおもしろキャラクターが活躍する本作。彼らの前向きでアグレッシブな日常を見ているだけで、不思議と元気をもらえる気がする。

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