■随所に登場する「きわどい」セリフ

 また、作中には「きわどいセリフ」を発するキャラも少なくない。たとえば『ドラクエ3』では、「おやめくださいませ! しゅじんがみていますわ!」としゃべる女性がいる。夜のカザーブの村の民家で、ベッドに寝ている女性に話しかけると口にするセリフだ。実際は寝ぼけて発しただけのようだが、はたしてどんな夢を見ていたのだろうか――。

 それ以外にも、夜にイシスの女王の部屋を訪れると「ひとめを しのんで わたしにあいにきてくれたことを うれしく おもいますわ。」と意味深なセリフを発する。ここでは貴重なアイテム「いのりのゆびわ」をもらえるので、覚えてる人も多いだろう。

 それにしても、これらのきわどいセリフもぱふぱふイベントも、『ドラクエ3』から昼と夜の概念が導入されたことでできた演出と言える。昼と夜とで、登場するモンスターが変わるだけでなく、大人たちの表情が変わるというのは多くの子どもたちに大きな衝撃を与えたのではないだろうか。

 これらのきわどいセリフの元祖となったのは、なんといっても初代『ドラクエ』で、ローラ姫と一緒に宿屋に泊まったときに宿屋の主人が「ゆうべはおたのしみでしたね」と発するセリフだろう。

 隠し要素的にこうしたセリフが用意されていることで、町のすみずみを探索し、一人ひとりに話しかける楽しみがあったのは言うまでもない。

 以上、『ドラクエ』でのオトナな要素について振り返ってみた。今のようにグラフィックがリアルなものではなく、ドット絵だったからこそプレイヤーが様々な想像を膨らませることができたのかもしれない。

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