宮下あきら氏による『魁!!男塾』は、1985年から1991年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載されたバトル漫画だ。登場する人物のほぼ全員は鍛え抜かれたマッチョで、血なまぐさいバトルが続く。
しかしそんな屈強な男たちのなかでも、美しいビジュアルを持つキャラクターが存在するのをご存じだろうか。そのキャラたちは長髪をたなびかせ戦っており、ほかのキャラにはない美貌を兼ね備えていた。
今回はそんな『魁!!男塾』に登場する、美しい名キャラを紹介したい。
■女性読者からの人気No.1!? 「飛燕」
飛燕は男塾三面拳の一人であり、まるで空中を飛び回るかのような華麗な動きをする“鳥人拳”の使い手である。
『魁!!男塾』に登場した当初は伊達臣人の部下的な存在であり、驚邏大四凶殺のバトルにおいて主人公・剣桃太郎たちを苦しめた。しかしその後はなんと男塾に復学。桃太郎たちの仲間となり、次々に登場する難敵に対し美しい戦いを繰り広げた名キャラだ。
飛燕は大威𢸍八連制覇の戦いで独眼鉄と戦った際、濃硫硝酸の沼の上にかけられたハシゴの上で追い詰められていった。パワーみなぎる独眼鉄に押され、顔を傷つけられつつ濃硝酸に落とされそうになる飛燕。しかし最後はロープを使って軽やかに空中を舞い、鶴嘴千本断神節で独眼鉄の手の神経を奪い、華麗なる逆転勝利を収めたのである。
ちなみに飛燕は本作のキャラクター人気投票でも、常に3位前後の上位を保っており、その人気の高さがうかがえる。人気の理由は女性読者からのあと押しだったのか、作中でも富樫が“いくら女性ファンが多いからって…”などと絡むセリフもあった。
男塾に登場するキャラの多くは鍛えられた裸体をさらすことがあるが、飛燕は常に中国拳法のような衣装を着ているのもポイントだ。ストレートのサラサラ髪をなびかせ、空中舞踊をするような戦いができる飛燕は、まさに富樫の言うように“男塾一の色男”と言えるだろう。
■神々しさはあのフランス革命のキャラ…!? 「黒薔薇のミッシェル」
黒薔薇のミッシェルは“冥凰島十六士”の2番目の戦士として登場したキャラクターである。筆者は当時このキャラを見たとき、思わず「ベルばら!」と叫んでしまった。そう、ミッシェルのビジュアルは、池田理代子氏が描いた『ベルサイユのばら』の主人公、オスカルを彷彿とさせるのだ。
ミッシェルはナポレオンが着ているような豪華絢爛な軍服に身を包み、マントをはためかせている。これから激しいバトルが予想されるにもかかわらず、一人だけちょっと場違いな美しいオーラを放っているのが面白い。また、その美しい風貌にふさわしく、常に丁寧な言葉を使うのも特徴である。対戦相手の富樫に敗れた際も“見事です”と称賛しながら倒れる場面が印象的だ。
ミッシェルは攻撃スタイルもその華麗な外見にふさわしく、即死効果を持つ紫の薔薇を駆使する。富樫との戦いでは“冥凰島奥義 殺薔薇棘薫(キリング・ローズ・フレグランス)” を放ち、無数の美しい薔薇を飛ばして攻撃する。そのシーンは、まるで少女漫画の1コマのような華やかさがあった。
最終的にミッシェルは富樫との戦いに敗れながらも、彼を救う形で命を落とす。薔薇に包まれて眠るようなその姿は、最後まで気品を失わない高貴な男そのものであった。