■天さん!!! ボクの超能力が強すぎるッ!!!『ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人』チャオズ

 鳥山明さんが描く『ドラゴンボール』(集英社)を原作にしたゲームは数多い。

 1990年に発売されたファミコン用RPG『ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人』もそのひとつだが、ほかのゲームと明らかに違う点があった。それが、鶴仙流の戦士・餃子(チャオズ)がぶっちぎりの凄い奴になっていることだ。

 チャオズといえば「サイヤ人編」を境に戦闘力インフレに置いていかれたキャラとして有名だが、本作では超強化された必殺技「ちょうのうりょく」で、むしろみんなを置いていく側に生まれ変わった。

 原作ではナッパにまるで通用しなかった超能力だが、本作では相手の動きを確実に2ターン止める恐ろしい効果に昇華されている。連発すればラスボスのベジータを含むあらゆる敵に使えるハメ技に。しかも「ちょうのうりょく」には相手の防御力を下げる効果もあり、原作ではタフすぎて絶望感すらあったナッパにも効果抜群だ。

 敵が1人ならば「ちょうのうりょく」だけで封殺できるため、まともなバトルを楽しみたいならチャオズを封印するしかない……。それほど圧倒的な存在となっていた。筆者は、このゲームのチャオズにこの言葉を贈りたい。

「チャオズ、お前がナンバーワンだ」と。

 

 ファミコンやスーパーファミコンに代表されるレトロゲームは、いまプレイすると「難しすぎる」といわれることもあり、当時エンディングまで遊べなかった人も少なくない。ゲームを簡単にしてくれる「バランスブレイカー」の存在は、そんな子どもたちの助けとなった側面も否定できないだろう。

 ゲームバランスの調整の末に生まれ落ちた「バランスブレイカー」。彼らを欠点と見るか、救世主と見るかは、プレイヤー次第なのだ。

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