■『Beautiful Life〜ふたりでいた日々〜』のスカチューン仕様のTW200

 カリスマ美容師ブームもあいまって「美容師」という職業ブームまで巻き起こしたのが、2000年放送のTBS系ドラマ『Beautiful Life〜ふたりでいた日々〜』だ。

 物語は、難病で車椅子生活を送る町田杏子(常盤貴子さん)と、木村さん演じる美容師・沖島柊二のラブストーリー。だが、杏子の容体が悪化したことで二人の恋は急展開を迎えてしまう。胸を打たれる最終回は視聴者の心を揺さぶり、瞬間最高視聴率41.3%という驚異の数字を記録した。

 同ドラマから生まれたヒットアイテムといえば、YAMAHAのバイク「TW200」だろう。

 TW200はもともと、1987年に発売された華奢な車体×太いタイヤが特徴の無骨なオフロード向けバイク。ウインカーやライトを小さくしたり、バッテリーやサイドカバーを外したりとストリート向けにボディの中身が「スカスカ」に見えるほどのカスタムを施した、いわゆる“スカチューン”スタイルが流行していた当時のオフ車だが、柊二が乗っていたのもこの仕様。

 スカチューンはバイク好きの間では90年代後半からすでに流行っていたが、同ドラマは、そこに一般人を引き込み、さらなる大ブームの火付け役になったのである。

■ブランドヒットにも貢献!『HERO』A BATHING APEのダウンジャケット

 最後は、2001年にフジテレビ系列で放送された月9ドラマ『HERO』を振り返りたい。

 同作はここまで紹介した王道ラブストーリードラマと違い、木村さん演じる中卒の検察官・久利生公平や松たか子さん演じる検察事務官・雨宮舞子らの活躍をコメディ交じりに描く法廷ドラマ。

 1期のヒットを受け、2004年には劇場版、2014年にはドラマ2期、2015年には劇場版第二弾が放送・公開されるほどの人気シリーズとなった。

 そんな『HERO』発のヒットアイテムといえば、伝説級の爆売れで話題を集めた“BAPE”ことA BATHING APEの「LEATHER CLASSIC DOWNJACKET」だ。カラーはもちろん、久利生公平が着ていたキャメルである。

 クールなシルエットと高い防寒性で購入者満足度も高いこのダウンは、上質なシープレザーに上質なダウン+フェザーを丁寧に織り込んだAPEこだわりの一品。高価格にも関わらず当時は品薄状態が続き、中古ですら定価の倍以上の価格で売買されるほどだった。しかも、これは衣装スタッフが用意したものではなく木村さんの私物だったのだとか。

 それまで裏原系御用達ブランドだったAPEは、同ドラマを機に全国の幅広い層に浸透していく。また、LEATHER CLASSIC DOWNJACKETもAPE定番アイテムとなり、今でも冬になるたびに復刻販売されている。

 改めて振り返ってみても、「身に着けてたもの」と言われて思い出せるアイテムがドラマごとに複数個ある。木村さんは、まさに90年代のインフルエンサーだと言えるのではないだろうか。

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