■どれだけピンチでも冷静!「降下って…墜落の事かしらね」

 同じくコミックス6巻「卑怯者の長老帝国」では、大ピンチにもかかわらず冷静な言葉で現状をつぶやくメーテルがいる。

 「卑怯者の長老帝国」という駅へ降りようとする999号。しかし列車は突如揺れ出し、連結していた列車はバラバラになってしまう。

 そのまま気味の悪い星の周囲を回り続ける999号。車掌が「銀河鉄道創業以来の大事故です」と言うほどの危機だった。その後、強い重力が作用し「降下します!!」と叫ぶ車掌。それを聞いたメーテルは、真顔のまま「降下って…墜落のことかしらね」と恐ろしいことをつぶやくのであった。

 メーテルは鉄郎との旅以前にも、多くの銀河・惑星を巡ってきたと思われる。百戦錬磨の経験からか、どれほどピンチに陥っても冷静さを失うことはないのだろう。しかし窮地に陥った状況のとき、平然と“墜落”などと言われてはたまったものではない。

■まるで他人事!?「ま〜〜お気の毒に」

 最後に、コミックス13巻「ボルカニックの弟子」での、メーテルの毒舌の数々を紹介しよう。

 星雲に影の映る珍しい星「惑星アレイ」に到着した999号。そこで鉄郎とメーテル、車掌はそれぞれボルカニックの一族に捕らわれてしまう。

 その後、なんとか鉄郎と合流したメーテル。ボルカニックとはどんな人物か鉄郎が尋ねると、メーテルは「バカなことの専門家、プロフェッショナル」とさらりと答えている。

 そして車掌を助け出し、無事999号で惑星アレイを脱出した3人。その際、鉄郎は右腕にギプスをはめており、“壁をぶち抜こうとしたら木でできていてビクともしなかった”と痛そうに説明する。しかしそれを聞いたメーテルは「ま〜〜お気の毒に」と、他人事のようにつぶやくのだ。

 さらに“木も消化する虫をどんどん増やせば生身の人間を助けられる”と言う鉄郎に対し「発明するのはいいけど、人の迷惑にならない物を造ってね」と、にこやかに伝えるのであった。

 このエピソードでは、全体的にすました印象のメーテルが描かれている。こうして見るとメーテルは常に冷ややかで、落ち着き過ぎている様子も分かるのだ。

 

 メーテルは常に冷静沈着で落ち着いている印象がある。しかし、その言葉をよくよく聞いてみると、不安がる鉄郎に対し「そうかしらね」とそっけなかったり、「バカなことの専門家」などと言ったりと、ちょいちょい毒舌を吐いているのも面白い。

 メーテルの毒舌には、鉄郎への期待や試練の意味が含まれているのかもしれない。彼女の態度は冷たくも見えるが、それが彼女なりの「導き」なのだろう。

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