■『ザ・ファブル』猟奇的でエキセントリックな暴力団組員・小島
真選組副長に駐在の警察官……と、正義感溢れる役が似合う柳楽さんだが、南勝久さん原作、2019年公開された実写映画『ザ・ファブル』では一変、猟奇的な暴力団組員として登場した。
柳楽さんが演じたのは、口元から耳にかけて大きな傷のある真黒カンパニーの組員・小島という男だ。原作漫画の小島は強面の中年男というイメージだったが、実写では柳楽さんの怪演により、よりエキセントリックで印象的なキャラとなっている。
一般女性を殺害し服役した小島は、出所直後に昔の仲間のもとに訪れ、いきなり脇腹にナイフをぶっ刺す。柳楽さんのイカれた演技も相まって、思わず息を呑むような非常に恐ろしいシーンだった。
小島はこの繰り返す問題行動によって、組織で対立する砂川(演:向井理さん)に拉致され監禁されることとなるが、ファブル(演:岡田准一さん)によって救出され、逃げることになる。
しかし宿敵・砂川の安い挑発に乗り、わざわざ引き返しタイマンをはる小島。「ああ 俺 今 最高に生きとるわ」と、自身の命の危機をも喜ぶ小島のイカれっぷりを、柳楽さんは満面の笑みで表現していた。
最期は手打ちとなり射殺されることになる小島。柳楽さんの熱演により、恐ろしくも際立つ存在となっていた。
今回は、柳楽優弥さんが魅せた漫画実写化作品での名演技を紹介してきた。
正義感溢れる堂々とした役だけでなく、どこか危うさをはらんだ猟奇的な悪役まで演じ分ける器用さ、全身から溢れ出る独特の雰囲気や目力は観る者を魅了し、圧倒する。まさに唯一無二の名俳優だろう。
今後もドラマや映画で活躍する柳楽さんから目が離せない。