10月よりスタートしたTBSの金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』では、柳楽優弥さんの素晴らしい演技が話題を集めている。柳楽さんが演じるのは、自閉スペクトラム症の弟と暮らす心優しい真面目な青年・小森洸人だ。ある日、謎の男の子・“ライオン”が現れたことで、洸人はとある事件へと深くかかわっていくこととなる。さまざまな困難に立ち向かうひたむきな姿が視聴者の心を掴んでおり「面白い」と評判だ。
また柳楽さんは、9月に公開された乃木坂太郎さんのベストセラーコミック実写化『夏目アラタの結婚』でも主演を務めるなど、実写化作品にも多く出演し、活躍を見せている。
そこで今回は、漫画実写化作品で魅せた柳楽さんの名演技の数々を紹介していきたい。
■『銀魂』真選組の鬼の副長・土方十四郎!『2』では…
空知英秋さんによるギャグ&バトルアクション漫画『銀魂』。2017年公開の実写映画にて柳楽さんは、真選組の副長・土方十四郎として登場した。
真面目で無愛想、“鬼の副長”として隊内で恐れられる存在でありながら、常にマヨネーズを持ち歩く極度のマヨラーである土方を、原作に忠実にコミカルに演じた柳楽さん。
さらに2018年公開の『銀魂2 掟は破るためにこそある』では、原作漫画における「真選組動乱篇」がメインストーリーであったため、土方は非常に重要なキャラとして立ち回った。
土方は、真選組内で対立する伊東鴨太郎(三浦春馬さん)の策略により軟弱化。柳楽さんは第二の人格・二次元ヘタレオタクの“トッシー”として、なんと“オタク”な演技を披露している。トッシーの登場となった志村新八(菅田将暉さん)と繰り広げた、“2次元オタク対3次元オタク”のテレビ討論シーンは衝撃的な面白さだ。
「ひとつの作品で2つのキャラクターを演じることを求められているので、実はとても難しいことでした」とインタビューで語っていた柳楽さんだが、そんな苦労を感じさせないほど“一人二役”を見事に演じきっていた。
そして、クライマックスで土方は、真選組の局長・近藤勲(中村勘九郎さん)のピンチに駆けつける。「俺は近藤勲を守る最後の砦 真選組副長土方十四郎だ!」と、血走った目で自力でヘタレの人格・トッシーを克服するシーンは圧巻。熱のこもった迫真の名演技だった。
■『ガンニバル』閉鎖的な村の秘密に迫ろうとする駐在警察官・阿川大悟
二宮正明さんによるカニバリズムを題材としたサスペンス漫画『ガンニバル』は、2022年にディズニープラス「スター」オリジナルドラマシリーズとして配信がスタートした。
主演の柳楽さんは、山間の村「供花村」に一家で赴任してきた駐在警察官・阿川大悟を演じ、閉鎖的な村社会で次々と起きる事件に巻き込まれていくこととなる。
大悟は非常にエネルギッシュで正義感あふれる警察官だが、その一方で、その正義感が暴走し何をしでかすか分からないという危うさを持った人物でもある。
柳楽さんはそんな大悟の人間性を繊細且つ大胆に演じていた。たとえば、本作の超重要一族“後藤家”を訪れた際、血気盛んな男連中に囲まれ猟銃で凄まれるも、その猟銃を奪い、返り討ちにしてしまうシーン。
このシーンで感じたのは、やはり大悟の危うさだった。柳楽さんの迫真の演技により、原作の緊迫感が再現されていたように思う。
シーズン1は、大悟やその家族に危機が迫る非常に“いいところ”で終わってしまったが、シーズン2の制作決定も発表されている。柳楽さんの演技を含め、今後の展開が非常に楽しみな作品である。