『抱きしめたい!』に『101回目のプロポーズ』も…「まさにクールビューティ!」女優・浅野温子が「憧れの女性像」で魅了した“伝説ドラマ”の画像
浅野温子  写真/ふたまん+編集部

 ドラマでは現在も多くの女優が活躍しているが、80年代後半のバブル期〜90年代に活躍した女優といえば浅野温子さん抜きには語れない。

 浅野さんといえばストレートの長く美しい髪の毛が印象的であり、「ワンレン」と呼ばれるヘアスタイルは当時大ブームを巻き起こした。またドラマで魅せる浅野さんの天真爛漫な姿も印象的で、多くの女性が“このような女性になりたい”と憧れていたものだ。

 今回は、そんな浅野さんが過去に出演した人気ドラマを振り返ってみたい。

■トレンディドラマの代表格!88年『抱きしめたい!』

 まずは80年代に一世を風靡していたトレンディドラマの代表作、1988年に放送された『抱きしめたい!』を紹介しよう。

 本作はフジテレビ系列で放送されたドラマで、主演を務めたのは浅野温子さんと浅野ゆう子さん。人気女優のダブル主演により、“W浅野”という言葉も流行った。

 あらすじはこうだ。ある日、美人な独身スタイリストである麻子(浅野温子さん)のマンションに、幼馴染の親友・夏子(浅野ゆう子さん)が転がり込んでくる。理由は麻子の元恋人である夏子の夫・圭介(岩城滉一さん)が浮気したため、家出してきたのだ。そこから麻子と夏子を中心に、多くのイケメン男性が加わりドタバタが展開されていく。

 本作はトレンディドラマの象徴ともいえる作品で、とにかく麻子と夏子を中心に登場人物のファッションがオシャレだった。男女ともにブランド物のスーツをカッコよく着こなしており、女性たちは普段着にもハイセンスなワンピースを着ている。また、家にある家具もセンスが良く、屋上にはジャグジーがあったりするなど、良い意味で生活感がないのだ。

 また麻子と夏子もとにかくモテる。とくに麻子は夏子の結婚相手・圭介からヨリを戻したいと言い寄られたり、8歳年下の山下純(本木雅弘さん)からもプロポーズされたりと、トレンディドラマらしい夢のような憧れの舞台が展開された。

 高視聴率を叩き出した本作は、その後も何度かスペシャル版が放送されている。そのうちの一作、89年に放送されたスペシャルドラマは豪華客船でのクルージングが舞台で、宅麻伸さん演じるハワイに住むピアニストの出会いが描かれるなど、バブル時代を象徴する豪華な設定が続いた。

 このドラマでは浅野温子さんが首を少し傾け、ワンレングスの髪の毛をかきあげるシーンが何度も登場する。当時ドラマを見ていた髪の長い女子は、揃ってこの仕草を真似ていた記憶がある。

■社会現象も巻き起こした恋愛ドラマ『101回目のプロポーズ』

 浅野さんは『抱きしめたい!』をはじめ、その後も『世界で一番君が好き!』などトレンディドラマを代表する女優として活躍していく。これらのドラマでは明るくてちょっとやんちゃな女性を演じてきたが、そのイメージを払拭したのが1991年からフジテレビ系列で放送された月9ドラマ『101回目のプロポーズ』である。

 本作で浅野さんは、これまでにない憂いを帯びた女性を演じている。浅野さん演じるチェロ奏者の薫は、3年前に大切な婚約者を事故で失っていた。そのショックを引きずりながら、母親の強引なお見合いで冴えない中年男性の達郎(武田鉄矢さん)と出会う……というものだ。

 これまでトレンディドラマに出ていた浅野さんの役はコミカルなシーンも多く、ときに大喧嘩をしてその場をハチャメチャにするシーンなども見られた。その印象は1986年から長きにわたって放送されていた、日本テレビの『あぶない刑事』の真山薫役の影響も大きかっただろう。

 しかし『101回目のプロポーズ』で演じた薫は真逆であった。過去の恋人を忘れられない薫は、達郎とのデートでも暗い印象で影があり、真剣に話し合うときはいつも涙を流している印象があった。

 「僕は死にましぇん!」のセリフが流行語大賞にも選ばれた本作は、最高視聴率36.7%を記録し社会現象にもなっている。本作がここまで注目された理由の1つには、浅野さんが演じたこれまでにないアンニュイな女性の役どころもあったように感じる。

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