■くろこしょうを求めて人助け! カッコ良くかばっている勇者ロト

 『ドラクエ3』で、くろこしょうを求めてバハラタの町にやってくる勇者一行だが、ここで店主の孫娘・タニアが誘拐されてしまう。

 勇者たちはバハラタ東の洞窟へ行き、捕まっているタニアとその恋人のグプタを救出する。しかし、そこで誘拐犯のカンダタ一味に見つかってしまう。

 ここで主人公は「あいつは わたしたちにまかせて! はやく にげるんだ!」と、カッコ良いセリフを言い、カンダタと対決することに。「ぱふぱふ」しているときはどうしようかと思ったが、さすがは勇者である。

■過去の自分が話しかけてくる『ドラクエ5』の伏線回収に感動!

 『ドラクエ5』では、ゴールドオーブのイベントで、サンタローズの村にいる自分と会話することができる。

 ゴールドオーブをすり替えるために過去に戻り、幼い自分(少年)と会話すると、少年は「うん。 どんなに ツライことが あっても ボクは 負けないよ」と、話しかけてくる。

 これからこの少年に降りかかる出来事を考えると、なんとか助けてあげたくなってしまうこのシーン……。父親を殺され、何年も奴隷になり、妻をさらわれて石化してしまうなんて……いやいや、とんでもない人生だ。

 大人になった主人公はまだ少年に対し、「坊や お父さんを 大切にしてあげるんだよ」「坊や どんなにツライことがあっても 負けちゃダメだよ」と話しかけている。自身の過去と同じ道を歩む少年に自らを重ね合わせ、このようなセリフを言っていたのだ。

 この伏線回収に気付いて泣けてくるのは、筆者だけではないはずだ。このとき、どれだけ父親のパパスを引き止めたかっただろうか。想像するだけでも悲しくなってしまう。

 

 ほかにも主人公は『ドラクエ3』のランシールの村で「ちきゅうのへそ」に挑む仲間を気遣って心配をしているし、『ドラクエ6』ではオープニングで「うわーーっ!!」とベッドから落ちるシーンがある。

 このように、かなりレアとはいえ、勇者が言葉を発している場面は存在する。それにしても第1作からずっと主人公をしゃべらせないだなんて……こちらが想像力を膨らませてしまう、素晴らしいアイデアだとつくづく感じる。

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