■「技術デモ」とも呼ばれた隠れた名作『P-マン GB』
続いては、1995年に発売された知る人ぞ知る名作『P-マン GB』(ケムコ)を紹介しよう。
ジャンプや武器を振るうなどの操作を駆使しながら、ステージの障害を乗り越えていくスクロール型アクションゲームの本作。独特な操作性から難易度は少々高めのゲームだが、このゲームに用いられているグラフィック技術には目を見張るものがあった。
たとえば、本作はタイトル画面からものすごい。タイトルロゴと空の広さを感じさせる雲たち、遠くに見える山々や手前にある木々たちが、それぞれ違ったスピードで多重スクロールすることにより、視覚的に奥行きを感じさせてくれるのである。加えて、そこに主人公のサムが看板を持って入り込んでくるという演出まで用意されているのだから驚きだ。
ゲーム中も、描き込まれたキャラたちがなめらかなアニメーションで動き回る。ゲームボーイソフトにありがちなちらつきもほぼなく、ステージ最後には画面いっぱいにドデカいボスキャラまで出てくる。まさに、「ゲームボーイとは思えない」ような映像の連続なのだ。
当時のゲームにおいては最先端の技術で制作されたと思われ、、唯一無二の表現で当時のプレイヤーを圧倒した趣のあるゲームだと言えるだろう。
モノクロのグラフィックながら当時のプレイヤーに深い没入感を与えてくれたゲームボーイの作品たち。
今となってはなかなかプレイする機会もなくなってしまったが、グラフィックの進歩が目覚ましい現代だからこそ、当時は気付けなかった開発者側の努力を感じられ、また違ったゲーム体験ができるかもしれない。これを機に、押し入れの奥に眠ったゲームボーイを掘り起こしてみてはいかがだろうか。