リアルさを追求した昨今のゲームは、もはや実写と見紛うほどに美麗なグラフィックへと進化しており、本来の目的を忘れてその独創的な世界にじっくりと見入ってしまうことも少なくない。とはいえ、レトロゲームも捨てたものではなく、たとえモノクロのグラフィックだろうと高い表現力によって、その時代のプレイヤーたちを感動させてきたのである。
そこで今回はゲームボーイで発売されたゲームから、モノクロでありながらもグラフィックが見事だったゲームを振り返ってみよう。
■ドットの描き込みの細かさに驚嘆する『スーパードンキーコングGB』
まずは、1995年に発売した『スーパードンキーコングGB』(任天堂)から。本作は1994年にスーパーファミコンで発売された『スーパードンキーコング』をもとに、アレンジを加えて発売された。
スーパーファミコン版のグラフィックがカラーだったことと比較してしまうと、ゲームボーイ版のモノクロなグラフィックは少々とっつきにくく思えるが、ドットの緻密な描き込みによって、その世界観は忠実に再現されていた。モノクロであるがゆえ、多少の見えにくさはあったものの、キャラクターの目線や身体が柔軟に動作している様子はしっかりと携帯機に落とし込まれていたのだ。
もともと視覚的な情報量が多いアクションゲームだが、モノクロの世界に登場するさまざまなオブジェクトが「何」であるかをプレイヤーに自然と理解させる本作のグラフィックは、見事だったと言わざるを得ない。
そもそも、スーパーファミコン版『スーパードンキーコング』は、ハードの限界を超えているとも評された、美麗な映像表現が大きな特徴だった作品。その美麗グラフィックが、ゲームボーイというスーパーファミコンより前に発売されたハードで再現されているのだから、驚異的な存在といっても過言ではないだろう。
■モノクロでも色褪せないヒロインたちの魅力『ときめきメモリアルPOCKET』
続いては恋愛シュミレーションゲームの大人気シリーズより、『ときめきメモリアルPOCKET』(コナミ)を紹介しよう。
プレイステーションにて発売された『ときめきメモリアル~forever with you~』をもとにしており、ゲームボーイソフトの容量の都合から2つのバージョンに分けて発売された。
藤崎詩織などおなじみのヒロインたちが登場するが、その豊かな表情はプレイステーション版にも引けを取らないクオリティで表現されている。
本作は、ゲームボーイカラー対応ソフトで、ゲームボーイカラーで遊べばフルカラーのグラフィックが堪能できる。ただ、通常のゲームボーイでももちろんプレイ可能で、モノクロの画面であっても、描き込まれたドット絵のクオリティは十分に高い。また、キャラには“口パク”のアニメーションもあり、本作の売りの一つである「キャラボイス」を引き立てるものになっている。
『ときメモ』を据え置き型のゲームでプレイすると家族の目が気になっていたプレイヤーも、十分なクオリティでゲームボーイに移植してくれたことで布団の中でこっそりとプレイすることができるようになった。ファンにとってはありがたい一作である。