『幽☆遊☆白書』黒鵺に『ワンピース』ゼットも…「え、原作にいなかったの?」あまりに強い印象を残した「劇場版オリジナルキャラ」の画像
映画『ドラゴンボール超 ブロリー』©バードスタジオ/集英社 ©「2018 ドラゴンボール超」製作委員会

 アニメ化されている漫画の中でも、劇場版が制作されるものは特に大ヒット作品といえるだろう。また、アニメ映画はオリジナル脚本になるケースもあり、原作とちがう展開によって作品の新たな魅力を発見できることも少なくない。

 時には劇場版のオリジナルキャラが人気を獲得し、そのキャラが原作には登場しないと知って驚かされることもあるはずだ。そこで今回は、原作には未登場であるにもかかわらず、アニメ劇場版で強い存在感を放ったオリジナルキャラを紹介していこう。

■本人はほんのちょっとの登場なのに…?『幽☆遊☆白書』の黒鵺

幽☆遊☆白書』の黒鵺は、劇場版に登場する蔵馬の友人だ。彼が登場するのは、冥界王・耶雲との戦いを描く1994年4月公開の劇場版アニメ第2作『幽☆遊☆白書 冥界死闘篇 炎の絆』である。

 この映画の中で強い印象を残したのが、オリジナルキャラである黒鵺だった。作中随一の人気を誇る蔵馬の相棒だったのに加え、黒いロングヘアのイケメンというビジュアルが存在感を際立たせている。作中では、敵である三獄神の傀麒が蔵馬の記憶の中にいる黒鵺に変身して、彼を大きく動揺させている。

 実は黒鵺は、盗賊時代の妖狐蔵馬との仕事中に死亡している。逃走中に自身のペンダントを落とし、拾いに戻ったことが原因だった。このペンダントは黒鵺が何よりも大切にしており、蔵馬が傀麒の変身を見破ったのもペンダントを雑に扱ったからである。

 黒鵺は登場時間が少ないにも関わらず、高い人気を獲得している。2021年にはアプリゲーム『幽☆遊☆白書100%本気(マジ)バトル』にて、原作の人気キャラに混じって黒鵺が期間限定のプレイアブルキャラとして登場したほどだ。劇場版のオリジナルキャラというだけでなく、作中に登場するのはほとんどが傀麒が化けた偽物で、本人が登場するのは回想シーンだけであるにもかかわらず、これほど人気があるのには驚きである。

■インパクトが強かった悪役…『ヒロアカ』のダークマイト

僕のヒーローアカデミア』のダークマイトは、強い印象を残す敵キャラだ。原作の最終決戦の直前の出来事を描く劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』に登場する敵であり、原作に未登場ながらも強い印象を残した。

 ダークマイトはオールマイトにそっくりな見た目をしており、劇場版の予告編の時点ですでに圧倒的な存在感を見せつけている。担当声優がオールマイトの声を演じている三宅健太さんであるのも、驚きの演出だ。

 ダークマイトはビジュアル以外、オールマイトとはまるでちがう男である。自身の野望を達成することしか考えておらず、そのためなら人々を平気で犠牲にする。多くのヒーローたちと同じように、オールマイトに心酔する姿を見せているのだが、デクや爆豪、轟たちとは解釈の不一致を見せているのだ。オールマイトという存在が正義だけでなく、悪の側にも大きな影響を与えることを象徴したようなキャラとして描かれている。

「平和の象徴」に取って代わろうとする悪役の登場はかなり衝撃的で、もし原作で登場していたらどうなったかあれこれ想像をめぐらせてしまった。

■原作キャラ顔負けの存在感!『ONE PIECE』のゼット(黒腕のゼファー)

ONE PIECE』は劇場版も公開されるたび話題となる人気作品だ。そんな中、『ONE PIECE FILM Z』のゼットは単純な敵キャラでは終わらない、渋い魅力溢れる海兵だった。ガープとセンゴクの同期で「黒腕のゼファー」と呼ばれた彼は、海軍大将を経験した実力者だ。しかし、海軍の掲げる正義に疑問を抱いたのをきっかけに「NEO海軍」を設立し、新世界の崩壊を目論んだ人物でもある。

 現在の海軍の多くはゼットの教え子たちであり、黄猿も「ゼファー先生」と呼んでいた。海軍を抜けたクザンもゼットの動向を追っており、その生き様に敬意を表しているようだった。奇しくも海軍に背を向けて裏社会で暗躍することになったという点は、クザンとゼットに共通している。

 ゼットは終盤には育ててきた教え子たちと戦い、華々しく散っていく。その際に涙を流す者もいたのも印象的だった。作者の尾田栄一郎さんがしっかりとキャラ設定を作ったこともあり、原作キャラ顔負けの存在感を放ったゼット。原作に登場していないのが残念に思えてしまうくらいだ……。

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