■ローラースケートシーンもあった『ふ・し・ぎ・なBABY』

 そして、80年代後半の男性アイドルを語るうえで欠かせないグループが、1987年にデビューした光GENJIだ。言わずもがな、80年代後半から90年代初期にかけての光GENJI人気は凄まじかった。

 そんな彼らの主演作が、1988年に同時上映された『…これから物語 〜少年たちのブルース〜』と『ふ・し・ぎ・なBABY』。「光」の2人と「GENJI」の5人がそれぞれ主演を務めたこの2作は完全なるアイドル映画で、光GENJIの魅力をとことん詰め込んだ光GENJIのための作品である。ローラースケート型のパンフレットが懐かしいという往年のファンも多いだろう。今回は「GENJI」の主演映画である『ふ・し・ぎ・なBABY』を振り返りたい。

 役柄は本人のままで、スタート時からすでに人気アイドル。ある日、大沢樹生さんと内海光司さんの「光」が撮影のため一時離脱することになり、諸星和己さんら「GENJI」の5人は合宿所でしばしの休息を取っていた。そして夜、一瞬の眩い光が走り、なんと部屋の中にバスケットに入った赤ちゃんが現れる。近松マネージャー(松澤一之さん)が赤ちゃんを警察に届けようとするが、なぜかGENJI以外はバスケットを持ち上げることができない。

 さらに、壊れた家具が直ったり捻挫が治ったりする不思議な出来事が起こる。そう、この赤ちゃんは超能力を持っていたのだ。

 警察に届けた赤ちゃんが戻ってきてしまい、5人はしばらく面倒を見ることに。しかし、彼らの背後に赤ちゃんを狙う悪党トリオの魔の手が忍び寄る。演じていたのは、渡嘉敷勝男さん、八名信夫さん、桜金造さんのコミカルな3人だった。

 GENJIの5人は、「明日、日が沈む前に私をドリームレイクに連れていって」という赤ちゃんのテレパシーを聞き、バスでドリームレイクに向かうが、悪党たちに赤ちゃんを奪われバスが停止。そこでローラースケートに履き替え車を追いかけ、『STAR LIGHT』をバックに道路を激走……とGENJIを堪能できるシーンが展開される。

 なお、光GENJIは『ロックよ、静かに流れよ』にも『ガラスの十代』をローラースケートで踊る東京の若者として出演しているが、この頃の7人はスクリーンでも大活躍だったのだ。

 いずれの作品も配信がされておらず、映画としては見る機会がなかなかないが、キラキラと輝いていた男性アイドルたちの演技が眩しい作品ばかり。設定が突飛なものも多いが、これもまたアイドル映画のあるあるかもしれない。

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