■ゲームだからこそ味わえる異次元の超加速…『F1 レース』
そもそも、ファミコン初のカーレースゲームは、任天堂から1984年に発売された『F1 レース』だ。本作は、ファミコンにおけるレースゲームの祖でありながら、すでにかなり完成度の高い作品だった。
タイトル通り、F1を題材にしているが、レース内の順位といった概念はなく、制限時間内にコースを走り切るのが目的となっている。
本作の最大の特徴は、究極のスピードを体感することができる“ターボ”の存在だろう。プレイヤーが操作するマシンは「LOW」と「HI」の二段変速式となっており、「HI」の状態で416km/hにマシンが達すると、それまでとは次元の違う加速度を誇る“ターボ”状態へと移行するのだ。
この“ターボ”状態、ただマシンが速くなるだけではなく、なんとグリップ性能も飛躍的に向上し、本来ならば減速しなければ曲がれないカーブをトップスピードのまま難なく攻略できてしまう。
甲高いエンジン音を発しながら超高速でコースを踏破していく快感は、まさに本作ならでは。ちなみに現在のF1カーですら400km/hを超えることは容易ではないため、まさにゲームだからこそできる“異次元”の速度といえるだろう。
無論、規格外の速度をコントロールするには慣れが必要ではあるが、“ターボ”を用いた圧倒的加速度はヤミツキになること間違いなしだ。
ファミコン時代に登場したレースゲームはどれもシンプルな操作性でありながら、コースを駆け抜ける“スピード感”を存分に味わうことができるさまざまな工夫が施されていた。
カスタマイズが充実していたり、規格外の超スピードを体験できたりと、作品ごとの個性がしっかりと分かれているのも面白い点だろう。