■織田さんとは2回目の共演『振り返れば奴がいる』

 冒頭でも触れたように、1993年には1月からフジテレビ系で放送された三谷さん脚本のドラマ『振り返れば奴がいる』で、千堂さんは知名度と人気をさらに高めていく。

 金を優先するアウトローな天才医師・司馬江太郎と、患者を優先する正義感の強い名医・石川玄という真逆な二人の確執を描いた本作は、医療ドラマというよりもはや憎悪渦巻くドロドロの人間ドラマ。後半になるにつれ、二人への印象が変わっていく展開も惹き込まれるが、今回の再放送で、ラストの展開に衝撃を受けた視聴者も多いだろう。

 そんな本作で、千堂さんは司馬の元カノである麻酔科医・大槻沢子を演じていた。髪型は相変わらずややバブリーだが、白衣を着るとより美しさが際立っていた千堂さん。司馬役の織田さんとは『東ラブ』に続く二度目の共演で、役柄の性格はまったく違うが二人のやりとりを見るたびに不思議な気持ちになってしまう。

 千堂さんは女性誌のインタビューで後に、「様々なアイデアが出るため台本が変わることも多く、セリフの書き換えでテイクが増えたりして大変だった」と当時を振り返っている。司馬が迎える展開も織田さんからのアイデアで急遽書き換えられたものだったそうで、かなりハードな現場だったことが伺える。

 どんな作品でも存在感を残していた千堂さんだが、女優業を離れてから受けた各所のインタビューでは、「目まぐるしい芸能生活の中で華やかな”千堂あきほ”という役を演じていた部分もある」と語っている。本来の性格とは違う“キャラ”を求められることで、様々な葛藤もあったことだろう。結婚・出産、北海道への移住を経て、等身大の千堂さんを取り戻せたとすれば、ファンとしても嬉しい限りである。

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