■カンダタを撃破したのにノアニールは助けない? さっさとピラミッドへ行って悪戦苦闘

 筆者が思うに『ドラクエ』は、性格が出るゲームだ。実際にプレイしていると、じっくりレベルを上げてから次の地点へ挑むタイプもいれば、町の隅々までリサーチして情報をしっかり収集するタイプもいる。

 そして、戦闘ばかりを楽しみ、町や城で会話をほとんどせず、ひたすら新天地を求めて進んでいくのが我が家の長男のプレイスタイルだ。この手のタイプは、山に囲まれたカザーブで苦労することになる。すごろく場をクリアしたものの、この周囲はエンカウント率が高いので、レベルが低いままだと戦闘で逃げられず後手に回りやすいのだ。

 なんとかカンダタを撃破し、村人たちが眠らされているノアニールの村に到着。クリアには関係ないことをつい教えてしまったら「じゃあ、放っとくわ」と、知らんぷり。おいコラ、勇者なんだから助けろよ……。

 許されない恋に落ちたエルフと人間の切ないラブストーリーがあるんだけどな……。「ちょっと感動するから進めてみたら?」と促すも、「え〜ムリやし、そんなんいいわ」と。冷めてるなあ、令和の高校生。さらに「いいよ、昭和のショートラブストーリーなんて」と続けてくる。く……コイツに『タッチ』と『シティーハンター』を読ませたい……。

 人助けだと思って行けばいいのに……って、「いやいや、モンスター倒しているだけで十分な人助けやし」と。まあ確かに。あ、そうですか……くらいしか言えないな。

 そして、アッサラームからイシスへ行き、すぐにピラミッドへと向かう長男。ひとくいばこに全滅させられ、思わず“ざまあみろ”だ。

 ここまでは何も見ずに進めていたのだが、さすがにピラミッドは手強いと感じたらしく、攻略サイトのマップを見ながら進んでいく。そして「まほうのかぎ」をゲット、あとは地下に眠る「おうごんのつめ」だ。

 武闘家だけにぜひとも欲しいアイテムだが、攻撃力が高い反面、エンカウント率がアップするというデメリットもある。ファミコン版よりも優しいとはいえ、長男にとっては面倒でしかないようだ。

 「マジで敵がウザいんだけど」と、愚痴をこぼす。じゃあ棺に戻したらいいのにと言えば、「ていうかさ、上の階の床を壊してはしごを降ろせばいいんちゃう?」って、なるほど……確かにそうだね。

 

 さて、次はポルトガへ行って船の入手だ。長男に“楽しいか?”と聞くと「面白いわ」と、まんざらでもない様子。さすがは社会現象を巻き起こした『ドラクエ3』だ。

 「まだまだ前半?」と長男が言うのだが、まだ序盤である。船を入手してからが、さらに楽しいのだ。「いや〜寝れないね」と、夜更かしする気満々だ。

 あれ? でもそういえば高校3年生だから受験生ではないか?「大丈夫やって、あそこはAOで受かるから」なんて言っている。今は総合型選抜と言うらしいが……ていうか、何を勝手に志望校を私大に変えているのだ? こちらがうっかりしていたわ。

 ダメだ、ドラクエはいったんおあずけにして勉強させよう。すると「えー?」と拒否の姿勢。強制的に冒険の書を記録させて電源を切ると「マジ、キラービー」と、恨めしい声が聞こえてきた。

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