■キャストが超豪華!若かりし頃の人気タレントが登場
堂本剛さんと堂本光一さんの共演は、1994年の『人間・失格 ーたとえばぼくが死んだらー』、1996年の『若葉のころ』に続く3作目。
剛さんが演じたのは滝川尊(タケル)で、光一さんが演じたのは新藤大和(ヤマト)。当時のインタビューによると堤監督は撮影時、「アイドルではなく素のまま2人が幕原市に放り込まれたらどうするかを考え、自分に正直な演技を」と指示を出したのだとか。その言葉通り、2人は時にはコミカルに時にはシリアスにそれぞれの個性を出し、カオスな世界の中で圧倒的な存在感を放っていた。
また彼らを支えるキャスト陣も豪華だった。
ヤマトの恋人・松元鈴子(スズコ)役の矢田亜希子さんやヤンキーのボス・リュウ役の徳山秀典さんなど、現在も活躍中の俳優たちの初々しい姿は貴重だ。
キリッとした美しさで人目を惹く宝生舞さんも同ドラマを語るうえで外せないキャストの一人だ。演じていたのは、男性のような立ち振る舞いでたくましく生きるユーリ。ヤマトとタケルとの淡い三角関係など彼女を中心に進むエピソードも多く、ヒロインとして大きなインパクトを残している。
光一さんとは1996年の『銀狼怪奇ファイル“二つの頭脳を持つ少年”』(日本テレビ系)に続く共演で、2人の息の合った演技には『銀狼』ファンも大いに沸いた。その後も『ショムニ』(フジテレビ系)への出演などでキャリアを積み上げていたが、2010年に引退を発表。現在は完全に芸能界から離れているが、当時の大活躍を覚えている人は多いだろう。
さらに、『未満都市』は注目の若手も目白押し。筆頭は、90年代後半に黄金期を迎えていた「ジャニーズJr.」の出演だろう。後に嵐となる松本潤さんと相葉雅紀さんもその一人だ。
当時の2人は、活動を始めたばかりの若手。連ドラ初出演の同作では、江口杜生(モリ)と岩永彰(アキラ)を一生懸命演じていた。まだあどけなさの残る姿は可愛らしいと話題を集め、俳優としての才能をキラリと光らせていたのも印象的であった。
だが、当時はそんな彼らを上回る凄まじい人気のJr.メンバーがいた。それが、原貴一(キイチ)を演じた小原裕貴さんである。公式デビューをしていないにも関わらずメディアに引っ張りだこだった小原さんは、同ドラマでの注目度も高く、筆者の周囲には彼を目的にドラマを見ているという女子もいたほどだった。
しかし、2000年に学業を理由に引退を表明。事務所からの引退発表、卒業セレモニーという異例の出来事を重ね、惜しまれつつも芸能界から離れていった。その後は優秀な成績で大学を卒業し大手企業に就職したという報道もあったが、スペシャルドラマで一夜限りのカムバックを果たす。一般人になっても相変わらず美形な小原さんを見て、青春時代に引き戻されたというファンは多いだろう。
長らく再放送もされずVHSのみの発売だった今作だが、2017年に20周年を記念しBlu-rayとDVDのBOXが発売された。大人になって見直すと新たな発見もあるかもしれない。