■マミとして歌った「思い出の曲」
――優/マミというキャラクターを演じる際には、特に演技プランを練るということはなかったのでしょうか。
太田 地でやれたんですよね(笑)。
――テレビシリーズではずっと男の子の友達しかいない優に、「永遠のワンスモア」から、ようやく早川愛ちゃんという女の子のお友達が登場しますが、太田さん的には優ちゃんに女の子の友達がいない、という描写についてはどう思われてましたか?
太田 綾瀬めぐみはライバルですもんね。愛ちゃんって、優と性格が全然違っていて、すごくしっかりしてるじゃないですか。愛ちゃんに対しては「おお~しっかりしてる、頼れるな~」みたいな感じで、しばらくいてくれるといいなってそういう欲はありました(笑)。
――「ロング・グッドバイ」の中で、優と愛が木所のアパートに向かっている途中、二人がブラジャーの話をしている場面があったじゃないですか。「ママに買ってもらうんだ」って。
太田 ありましたね!
――あのセリフを台本で初めて見た時どう感じられました?
太田 私は女子校に通っていて、女子校のノリで演じていましたし、物語の中に入っちゃっているから、全然照れはなかったですね。
――テレビシリーズのエンディングでは、俊夫と優が結婚して、ふたりの子供が生まれて家族円満……といった未来を思わせる絵が提示されていましたが、「ロング・グッドバイ」のエンディングからふりが結婚するまでの間の優の歩みが、どんな感じだったのか想像されたことはありますか?
太田 ちゃんと学生時代を経て、就職して、普通に結婚するのかなと(笑)。優ちゃんに限って突飛でもないような人生を歩まないだろうみたいな。
――「マミ」シリーズは「デリケートに好きして」を代表に、名曲ばかりが起用されています。太田さんがマミとして歌われた楽曲の中で思い出深い楽曲はどれになりますか?
太田 やっぱり「デリケートに好きして」と、あとは「LOVE さりげなく」ですね。これは未だに歌っても盛り上がるので。2年ぐらい前に、NHKで放送されていた「のど自慢大会」を観ていたら、外国人の若い女の子が「デリケートに好きして」を歌ってたんですよ。「ええ! すごいじゃん!」って思って、テレビの前で応援しちゃって。そんなふうに外国人の方も歌ってくれるから嬉しかったですね。歌詞も発音もバッチリで「あなた日本人じゃないの?」ってくらい上手かったです。
――当時、プロデューサーの布川ゆうじさんからかけられた言葉で印象に残っているものはありますか?
太田 布川さんはあんまり言わないですね。言ったとしても本当にイベントが終わった時にさらっと言うくらい。ニコニコして「何か食べるか?」とかそんな感じですよ(笑)。でもね、終わってからもう何十年も経ってるのに、つい最近ですよ、「太田ちゃん、『クリィミーマミ』は社運がかかってたんだ」って(笑)。初めて聞いた時は「えっ!? そうだったんですか?」みたいな。「今言う?」って思いました(笑)。
――確かに10代の女の子にはちょっとプレッシャーだったかもしれないですね。
太田 でも面白いなと思って(笑)。たまにポロッポロッって言いますよ。
――水島裕さんや島津冴子さんとの思い出は何かございますか?
太田 もう島津さんの場合はしっかりしたお姉さんっていうイメージがあって。未だに島津さんとは「貴子ちゃん、がんばろうね」と言いながら、ちょっとプレッシャーがくるみたいな感じがありますけど(笑)。水島さんの場合は本当にお兄ちゃんっていう感じが、未だにしますね。なので、イベントでご一緒しても普通にお話ししているので、周りの声優さんが「太田さんだから水島さんにそういうこと言えるんですよ」って。周りがハラハラしてます(笑)。