■地図を広げて冒険に出かけよう!『MOTHER』
最後に、「エンディングまで、泣くんじゃない。」というキャッチコピーが今もなお心に刺さり続ける『MOTHER』の説明書を紹介しよう。
作中ではいっさい喋らない“ぼく”が、説明書で終始語るように説明してくれるのが特徴の『MOTHER』の説明書。冊子ではなく一枚の紙を広げていくように読み進めると、アイテムや敵の情報がカタログ形式でずらりと並べられていた。
子どもの頃は大人が新聞を大きく広げて読んでいたのに憧れて、『MOTHER』の説明書を広げ「ふむふむ」とそれっぽく読んでいたことを思い出す。
さらにその内容としても、「実は子どもに優しいおじさんと戦うなんて悲しい」「誰かのママであるはずのおばさんがどうしてこんなに怖いんだ」などの内容が、子どもである“ぼく”目線でまっすぐに記されているのが面白い。
そんな説明書の裏面には、「ぼくの大冒険の舞台だ!!」と記された巨大なマップのイラストが描かれていた。各所の特徴が細かく記されていることに関心を覚えると同時に、まるで自分も地図を広げながら冒険している気分にもなれるような、誰しもがワクワクする仕掛けである。
『MOTHER』の説明書を改めて見てみると、プレイヤーの心を掴んで離さず、手に取った時点からゲームが始まっているかのような気分にしてくれる魅力的な内容となっていた。
今回紹介した以外のゲームにも、当時の説明書にはその世界観を深堀りできる充実した情報がたくさん散りばめられていた。今では限定版に付属するブックレットのような情報量が、当たり前に同梱されていたのだから驚きである。
一部のゲームではあるが、当時の説明書は任天堂の公式サイトにそのまま掲載されているので、当時のワクワクを思い出したい人はぜひとも覗いてみてほしい。