『ゼルダの伝説』に『スーパーマリオブラザーズ』、『MOTHER』も…ファミコンソフトの「取扱説明書」を大人目線で読んでみたの画像
ファミコンソフト『スーパーマリオブラザーズ』(ふたまん+編集部撮影)

 時代の変遷に伴い、今となってはほとんど見られなくなった「ゲームの説明書」。ゲームの世界観や基本操作が記載されていたのはもちろん、キャラクターの紹介や小ネタなど、説明書を読まなければ知り得ない情報がそこにはあった。ソフトに説明書が付属されていた時代は、プレイ開始前にまずじっくりと読み込むのが一つの楽しみとなっていた人も多いことだろう。

 今回は、当時読むだけでもワクワクした、ファミコンソフト付属の説明書について振り返っていこう。

■リンクは可愛いけど敵はちょっと恐い?『ゼルダの伝説』

 まずは、1986年に発売したディスクシステムソフトの元祖『ゼルダの伝説』から。

 50ページを超える大ボリュームの説明書をめくると、ディスクカードに貼る用のタイトルシールが2枚、自由に使用できるタイトルロゴと主人公・リンクのシールが付属していた。遊び飽きたら、安価でゲームを書き換えることができる“ディスクシステムならでは”の、時代を感じさせる特典である。

 続いて、ゲーム内では詳細に語られない世界観やディスクシステムに関する説明ページが続くが、「~してね。」「~だよ。」といった語りかけるような口調には親しみを覚えてしまう。

 そしてようやくゲーム本編に関する説明に差し掛かると、添えられているポップなイラストの数々に目を奪われる。各ページの説明に対応し、アイテムを広げたり宝箱を開けたりするなど、さまざまな表情のリンクたちが読み手を飽きさせない。

 当時の色数の少ないドットによって表現されていたアイテムや敵たちも、隣にイラストが添えられることによってイメージが湧きやすく、没入感を得るための一助となっていた。

 2023年発売の『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』にも登場している“ライネル”や“モリブリン”などもこの時からすでに存在しており、「当時はこんな見た目だったのか!」「ゾーラが気持ち悪い」など、あらためて読んでも発見があってつい感動してしまった。

 これでもかと情報が詰め込まれた『ゼルダの伝説』の説明書は、子どもから大人まで一つの読み物としても十分に楽しめる内容となっていた。

■実は知らなかったマリオの意外な世界観!『スーパーマリオブラザーズ』

 誰もが一度はプレイしたことがあるだろう『スーパーマリオブラザーズ』。1985年に発売した本作の説明書には、今となっては忘れてしまいがちなその世界観が詳細に記されていた。

 冒頭記載の「ものがたり」には、カメ一族の大魔王・クッパの強力な魔法によって王国に住むキノコたちが岩やレンガ、つくし等に姿を変えられてしまったと記されている。

 昨今のクッパは特別なアイテムを得て強力さを増したり、側近のカメックが魔法をかけるイメージが強いが、どうやら当時のクッパは自身が一国を滅ぼすほどの強力な魔力を備えていたようだ。そして、この魔法を解くことができるのが、キノコ王国のお姫様であるピーチ姫だけなのだという。

 愛するピーチ姫を救うためというよりは、失われた国を救うためにピーチ姫を取り戻すという物語だったと知って、あらためて驚いてしまう。

 イラスト付きのキャラクター紹介欄では、クリボーが裏切り者のキノコであることや、赤いノコノコは気が弱くそわそわしている、など意外と細かい小ネタ満載でニヤリとしてしまう。

 筆者的にこの説明書で一番好きな項目は、画面外に蹴った甲羅に関する記述だ。実際に見えている画面の外側にも敵がいるとされ、その敵たちには蹴った甲羅は当たらない。その理由として記された「多分マリオが見ていない所で、飛び越えているのでは……」という表現。

 プレイヤーにゲーム世界の無限の広がりを想像させるような任天堂の遊び心は、昔も今も変わっていないのだなと実感させてくれる記述である。

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