■ファミコン「史上最恐」の呼び声もある傑作!

 最後に紹介したいのは、同名の映画をゲーム化したホラーRPG『スウィートホーム』(カプコン)です。名作『バイオハザード』の原型を作った作品とも言われ、ファミコンの「最恐ホラー」として知られています。

 基本システムは、オーソドックスなRPGながら、随所に謎解きのイベントシーンが登場。そのとき表示されるグラフィックはどれもハイクオリティ。映画にも登場したフレスコ画(壁画)もファミコンで再現され、どこか悲しみを感じさせつつも不気味な雰囲気をしっかり踏襲しています。

 さらにドット絵で描かれた不気味な洋館や、死人が出たときのグラフィックは、陰鬱で不穏な映画の雰囲気を見事に表現。日本のホラー映画特有の「じめっとした湿気のある粘着質な薄気味悪さ」を、ファミコンのグラフィックで再現したことに驚かされます。

 原作となった映画『スウィートホーム』は監督・脚本を黒沢清氏、製作総指揮を伊丹十三氏が務めた日本屈指のホラーではありますが、個人的にはファミコン版『スウィートホーム』には本家の映画に匹敵するほどの怖さを感じました。

 昨今の高性能ゲーム機なら、実写に近いクオリティのホラー映像を表現するのはお手のものです。しかし、ファミコンの少々粗いグラフィックで趣向を凝らして描かれた恐怖シーンでも、十分怖さを感じることができました。『ファミコン探偵倶楽部』シリーズのようなリメイク作や完全新作もいいですが、もし興味があれば原点のファミコン版を一度遊んでみるのも一興だと思います。

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