1983年に登場した『ファミリーコンピュータ』(任天堂)を筆頭に、PCエンジン(NECホームエレクトロニクス)、メガドライブ(セガ)、スーパーファミコン、ゲームボーイ(ともに任天堂)など、子どもたちをトリコにしてきた家庭用ゲーム機。
時代が令和となった今、それらは「レトロゲーム」として、再び人気を集める存在となっています。おかげで中古ソフトの価格は右肩上がりとなり、「どんなものでも買い取りします」というレトロゲーム業者もいるほど。
中には数十万、数百万の値段がつけられている商品まであります(前回参照)が、はたしてどんな基準で「レトロゲームの価格」は決められているのか。そして、そもそも「どんなもの」でも買い取りして大丈夫なのか。取材を敢行してみました。(※文中の価格などは8月21日時点のものです。)
■レトロゲーム「値段設定」のポイントは……?
今回、お話を聞いたのは、全国の中古商品を取り扱う「ハードオフコーポレーション」の岡嶋雄一さん。ハードオフでは、レトロゲームをどう値付けしているんですか?
「ハードオフでは、各店舗の店長がそれぞれ売価を決めています。各店舗のスタッフは、本当にゲームが好きな人が集まっていて、情報や相場を把握している“目利き”ぞろいなんです。そもそも大前提として、レトロゲームは中古品で、状態はそれぞれ違いますから、各店舗で実際の商品の状態を見たうえで買い取り、販売しています」(岡嶋さん/以下同)
一度でもリユースショップを利用したことがある方なら想像がつくかもしれませんが、通常、リユース商品は価格に一定の相場があります。そして、絶賛販売中のソフトよりも、すでに生産中止となったゲームのほうが価格が高くなる……つまり、相場はおおかた“手に入れにくさ”で変動します。
ハードオフでは、各店長が相場を見極め、最終的な販売価格を決定。あくまでリユースショップであるため、買い手がつかないような額に設定することはないものの、近年の人気で希少価値が上がっている影響で、「すぐに売れてしまわない価格」にはしているそう。
さらに、会社として価格を決めたり、本社側から“この価格にしなさい”と指定することもなし。ただ、これまでの売買記録は全部データ化されているので、ある程度の相場はそれを参照するだけでも把握可能だとか。
「たとえば、昔のファミコンソフトがニンテンドースイッチに移植されて遊べるようになると、ソフトの人気が若干下がる傾向があったりします。なので、そういった情報は会社でも収集して、共有しています」
ちなみに、箱や説明書がなくても買い取ってくれる業者がほとんどかと思いますが、なぜそのようなことが可能なのでしょう?
「理由は単純で、どんな商品でも、それがレトロゲームであれば売れるからです。ハードオフでも、ゲーム機本体やソフトはもちろん、チラシでもゲームの箱だけでも買い取り可能です。コレクターの中には、ファミコンソフトに同封されていたハガキが欲しい! という方もいますからね(笑)」