■小麦色の肌がステータスだった『波の数だけ抱きしめて』
『波の数だけ抱きしめて』は、1991年に製作されたホイチョイ・ムービー三部作最後の作品だ。本作は1982年の湘南を舞台に、ラジオ局の運営に携わる若者たちの青春・恋愛模様を描いたストーリーである。
あらすじはこうだ。織田裕二さん演じる小杉正明は、大学在学中に仲間とミニFM局を運営していた。ラジオ局を成功させるためにはDJの才能を持つ中山美穂さん演じる田中真理子の力が必要だったが、彼女はロサンゼルスに行こうか迷っていた。
正明と真理子は両想いだが、お互いその気持ちを打ち明けられない。そんなときに真理子に一目惚れをした別所哲也さん演じる吉岡卓也が現れ、ラジオ局の運命や真理子の将来にも影響を与えていく……というもの。
本作もこの当時ならではの恋愛模様が多く描かれており、気持ちを伝えられない小杉や、小杉が親友と抱き合うのを見て誤解をする真理子など、なかなかくっつかない2人にやきもきしてしまう。また当時はビーチで日焼けをするのが流行っていた時代なのか、出演する中山さんや松下由樹さんが小麦色の肌をしているのも印象的だ。
ラジオ局をテーマにしただけあって、流れるBGMも話題になった本作。ホイチョイ作品のなかでも、リアルな青春の葛藤や恋愛模様が描かれている。
バブル期の恋愛映画をリードしたホイチョイ・ムービー三部作。本作を見返すと“プロデューサー巻き”と呼ばれたワイシャツにカーディガンを羽織るファッションや、当時流行っていた車種やバイクも多く登場する。昭和生まれにとっては懐かしく、若い世代にはこんな時代があったのかと新鮮に映るだろう。
今回紹介した3作品はいずれもDVD化されている。バブルの時代を今一度思い出したい人は、ぜひチェックしてみてほしい。