■その設定必要なの? 初見プレイヤーは心臓が止まるほどの破壊力だった『プリルラ』
最後は、1991年に稼働されたタイトーの『プリルラ』を紹介したい。基本的には綺麗なグラフィックのベルトスクロール系のアクションゲームだった。
不思議な国のラディッシュ・ランドでは街ごとの番人の管理のもと、時計じかけのネジによって時間の流れが保たれていた。しかし、悪者にこのネジが奪われてしまう。危険を感じた発明家のおじいさんから魔法の杖を託されたのが、少年・ザックと少女・メルだ。彼らのうち、どちらかを選択してゲームを進めていく。
それぞれの街でボスキャラを倒し、ネジを手に入れるのがこのゲームの目的だ。ファンタジー系のアニメーションの演出で、とても華麗なグラフィックだった。プレイヤーは魔法の杖を振りかざして敵をせん滅していき、次々とボスを倒していく。序盤はなかなか熱中できるのだが、敵キャラがどことなく独創的だ。
だが、本当に驚くのは3つ目のステージに入ってから。ここでいきなり実写映像が入ってくるのだ。横向きに棒に掴まっている黄色い服の女性が上下に揺れながら登場してきて、その後、青い髪の大きな顔だけの男性が地面からニョキっと現れる。
「は?」とあっけに取られていると、女性が振り子のように蹴りを食らわせ、青い髪の男性は地面に戻るも、すぐに再び現れる。すると今度は女性が一回転してさらに蹴りを食らわせ、男性が正面を向いて画面いっぱいに迫ってくるのだ。と、文章だけでは何が何やら……かもしれないが、本当に破壊力がある描写なのだ。初見プレイヤーは心臓が止まってしまうほどの驚きだっただろう。
このトラウマ級の出来事に驚いていると「この街は、誇大妄想家の夢に支配されて、どこもかしこもこのありさま…」というナレーションが入る。
なるほど……となんとなく納得してゲームを続けると、今度はなんと壁から赤いニーハイソックスを履いた女性のデカい両脚だけが登場する。しかも両足の中央には緑のドアが見えて、ここに近づくと突然ショッキングピンクの像が出現する。何の妄想なんだ? 妄想が斜め上を行き過ぎている……。
その後、壁画の女性からは長い舌が攻撃してくるし、ボスは歌舞伎男だし、いろいろとカオス状態は続いた。今見てみても、やはり意味不明だ……。
さて、このアーケード3作品は、ファミコン時代に人気を博したゲーム会社から発売されている。コナミやタイトーはもちろんのこと、データイーストも『探偵 神宮寺三郎』や『ヘラクレスの栄光』などのシリーズが人気だった。
それだけに、こんなぶっ飛んだ作品が出ていたことに、今さらながら驚くばかりである。