『新入社員とおるくん』に『トリオ・ザ・パンチ』『プリルラ』も…設定がカオスすぎ!懐かしのアーケード「愛すべきバカゲー」たちの画像
プレイステーション2用ソフト オレたちゲーセン族『トリオ・ザ・パンチ』

 1980年〜90年代はファミコン全盛期だったが、アーケードゲームは引き続き人気を誇っていた。筆者もたびたび、小銭を持ってゲームセンターへと足を運んだものだ。

 なかには、ユニークな設定でちょっと方向性が尖っていた作品もあった。設定があまりにぶっ飛んでおり、いわゆる“バカゲー”といわれるようなものもあったが、当時からコアなファンがついて、たびたび話題となっていた。

 そこで、今考えるとちょっと方向性が尖っていて、プレイヤーの心に爪あとを残したアーケードゲームを振り返ってみよう。

■恋人とデートするために同僚や上司を攻撃する破天荒な新人?『新入社員とおるくん』

 まずは、1984年に稼働したコナミの『新入社員とおるくん』だ。本作の目的は残業を命じられた新入社員のとおるくんが、愛しの彼女とデートするために仕事を抜け出すことである。

 そもそもストーリーからしてスゴい。途中で邪魔するキャラたちを退け、会社から脱出すると念願のデートが叶うというのだから……ビックリだ。

 とおるくんを邪魔してくるのは、悪山課長、コック、掃除をしているオジさん、ガードマンなど。新入社員に残業を命じるなんて、さすがは昭和の企業である。

 ステージ1はオフィスが舞台だ。まず、同僚をヒップアタックで吹っ飛ばす。これで「ハート」をゲットしていくと、ドアが開いて次のステージに進めるのだ。追いかけてくる課長はヘッドバットで攻撃……いや、めちゃくちゃである。

 なぜかコックまで追いかけてくるのは今でも理解できないが、これも悪山課長の命令なのだろうか。社員食堂のスタッフだと思うが、彼も同じように残業して仕込みでもしているのかもしれないし……可哀想なものだ。

 ゲームシステムはアクションゲームと割り切れば、それなりの難易度といえる。だが、一番怖いのは、最終ステージ5の会社の庭に登場するガードマンだった。通せんぼし、ひたすら追いかけてくる敵キャラたち。何が何でも新入社員を帰さないという会社側の意思表示が見て取れる。残業手当も出なさそうだ……。

■独特の世界観…プレイヤーキャラの選択からとんでもなかった『トリオ・ザ・パンチ』

 次は、1990年に稼働したデータイーストの『トリオ・ザ・パンチ』だ。説明不要……ではなく、説明がうまくできないアクションゲームである。

 明確なストーリーもとくになく、まず、プレイヤーを選択する画面から驚きを隠せない。3人のキャラクターが出てくるもイケメンが一人もいないのだ。普通、この手のタイプはバランス重視のイケメンキャラ、パワータイプの筋肉キャラ、スピード重視の美少女キャラなど、何か特徴があるもの。

 しかし本作では、ヘルメットのような仮面をかぶった忍者らしきタイプ、帽子を後ろ向きに被った筋肉質タイプ、そして剣のような武器を持ったこちらも筋肉質タイプと、なにやらよく分からない。

 しかも、お世辞にもみんなカッコ良くないので、見た目で選ぶのも難しい。ちなみに忍者タイプもゲームが始まるまではどんな特性があるのか分からず、全員筋肉系のパワータイプに見えなくもない……と、とにかく何もかもが手探り状態だ。

 ゲーム内容は横スクロールのアクションゲームなのだが、冒頭でいきなりボス級のキャラが次々と登場してくる。顔が巨大化したり、変身したり、ピンク色の羊にいたっては倒したら「呪ってやる」とか言ってきたり……と、想像のはるか上を行く独特の世界観が絶妙に不気味だった。

 ステージをクリアすると「勝ち」と表示されるのだが、「え、コイツがボスだったの?」と驚かされることもあった。そしてクリアの報酬として、「クリアー たからくじ」のルーレットを回すことができる。ここでは師匠風のチンというオジさんが登場してきて「ボタンを おすのぢゃ」なんて言ってくるし、もはやカオスな展開である。

 とにかく謎だらけのゲームで当時も話題になっていた。ゲームしていると周囲に人が集まってくるという、なんとも不思議なものだった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3