今年も各局で夏のドラマがはじまった。夏ドラマは少々刺激的なテーマも多く、見る人をドキドキさせる。とくに今回の夏ドラマにおいて、漫画を実写化した作品はちょっと“キケン”な内容が多く、予告映像だけでハラハラしてしまいつつも、とても惹かれてしまうのも事実だ。
そこで今回は、そんな危うさを含む、この夏話題の漫画実写ドラマを紹介したい。
■遠距離恋愛の危うい関係『さっちゃん、僕は。』
『さっちゃん、僕は。』は2019年から『少年ジャンプ+』(集英社)で連載された、朝賀庵さんの作品である。ドラマはTBSドラマストリームにて2024年6月よりFANTASTICSの木村慧人さん主演で放送されている。
物語のあらすじはこうだ。北海道から上京した大学生の主人公・片桐京介には、地元に残したさっちゃんこと小山内早智という恋人がいた。肉体関係を結べないまま遠距離恋愛が続くなか、京介は美しい人妻・国木田紫乃と関係を持ってしまう……というストーリーだ。
昭和のヒット曲『木綿のハンカチーフ』の歌詞のように、東京へ旅立った恋人は華やかな都会に染まり、田舎に残した恋人とは別れてしまうこともある。しかし本作では、純愛な遠距離恋愛が続いていくうえ、それぞれの登場人物が抱える闇も丁寧にクローズアップされ、描かれているから面白い。
果たして京介とさっちゃんとの関係はどうなるのか、一度見たら続きが気になって仕方のないドラマである。
■高校生の妊娠を描いたリアルすぎるドラマ『あの子の子ども』
『あの子の子ども』は、2021年より『別冊フレンド』(講談社)で連載中の蒼井まもるさんによる漫画だ。高校生の妊娠を丁寧に描いた作品として話題となり、第47回講談社漫画賞・少女部門を受賞している。
主人公の女子高校生・川上福は、同級生の恋人・月島宝と幸せな交際をしていた。しかしあるとき避妊に失敗し、思いがけず妊娠してしまう。自分は今後どうすべきなのかと悩む、福と宝。だが、妊娠を機に家族やクラスメイトとの関係も崩れていってしまう……。
未成年の妊娠をこれほどまで丁寧にすくい上げた作品は珍しく、見ることで多くのことを考えさせられる。柔らかく美しい映像も、本作を彩る魅力のひとつだろう。
ドラマはカンテレ・フジテレビ系列で2024年6月より放送されている。老若男女問わず、多くの人に見てほしい作品である。
■独特の世界観にハマる『墜落JKと廃人教師 Lesson2』
『墜落JKと廃人教師』は2017年から『花とゆめ』(白泉社)で連載中の、soraさんによる作品である。2023年4月にMBSドラマ特区で放送され、今回の2024年6月から放送されているドラマは続編のLesson2となっている。
成績優秀でクールビューティーな主人公の女子高校生・落合扇言は、失恋のショックで、自ら命を絶とうと屋上にいた。しかし物理教師の灰葉仁から「死ぬ前に俺と恋愛しない?」と止められ、2人の物語がはじまっていく。
シリアスな恋愛話かと思いきや、物語はかなりコミカル。2人の距離が縮まったかと思いきや実は勘違いだったという展開が続き、本作独特の空気が流れるのが面白い。胸キュンもありつつ独特の世界観が楽しめる、ファンも多い作品である。