■黒髪の美少女だが中身は生粋のギャンブラー『賭ケグルイ』浜辺美波
前述した『約束のネバーランド』では、最後まで希望を捨てない健気な少女・エマを演じた浜辺さんだが、『賭ケグルイ』では一転、ギャンブラーの蛇喰夢子を演じている。
原作:河本ほむらさん、作画:尚村透さんによる本作は、2018年にテレビドラマ化、シーズン1、2と放送され、『映画 賭ケグルイ』『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』さらには前日譚となる『賭ケグルイ双』なども作られた人気シリーズである。
生徒同士のギャンブル勝負を推奨し、それによって決まる階級制度によって厳しく管理させる名門校・私立百花王学園。そこに、浜辺さん演じる黒髪ロングの美少女・夢子が転校してくることで物語が始まる。
夢子は、普段はおっとりとした喋り方でおしとやかな振る舞いをしているが、その本性は生粋のギャンブラー・“賭ケグルイ”であった。作中では森川葵さん、松村沙友理さん、池田エライザさんなど豪華俳優が演じる生徒たちと、騙しありハッタリあり、大金とプライドをかけたギャンブル勝負が繰り広げられる。
大勢のギャンブル中毒の生徒たちのなかでも、浜辺さん演じる夢子は一際異彩を放っていた。浜辺さん自身、夢子を演じるにあたって「限界を超えたくらいの強さで個性を出していきたい」と語っていたが、極限のギャンブルの快感に恍惚とする姿は美しく、その妖しい魅力に取り憑かれた視聴者は多いだろう。
■壮絶な復讐劇を繰り広げる少女『ミスミソウ』山田杏奈
2018年に公開された実写化映画『ミスミソウ』では、山田杏奈さんが、二面性のある主人公・野咲春花を演じた。
山田さんの初の映画主演作品でもある本作は、押切蓮介さんの人気のサイコホラー漫画が原作だ。舞台は過疎化が進むある地方の町。家族思いの優しい中学三年生・春花は、クラスメイトの陰湿ないじめに耐え、家族の前では気丈にふるまっていた。しかし、いじめがエスカレートするとその家族までもが標的になってしまい、家まで押しかけてきたクラスメイトたちは家に火を放ち、春花の家族を焼き殺してしまうのだ。そして、ここからは春花の壮絶な復讐劇が繰り広げられていく。
春花の復讐は容赦なく、ナイフやボウガンなど武器に血しぶきが飛ぶ凄惨なシーンの連続だ。それまで散々酷いことをしてきて当然の報いを受けるクラスメイトなのだが、それでもだんだん気の毒に思えてくるほどの描写もある。
山田さんは2011年に誌面モデルとなり、2013年から女優として活躍してきた。普段の柔和な表情とは違い、本作では怒りや悲しみ、絶望……と、さまざまな感情を感じさせる表情の演技が素晴らしかった。
当時のインタビューにて、“押切先生の漫画のキャラクターには目に特徴があるので、瞬きをあまりしないようにして気持ちを無にして撮影に臨んだ”と、明かしていた山田さん。思わず目を背けたくなってしまうほど残酷なシーンもあるが、全体を通して悲しさや儚さを感じられる作品となっていたのは、彼女の女優としての力量があってこそだろう。
今回は、実写化作品で二面性のあるキャラを見事に演じた人気美人女優たちを紹介してきた。いずれも普段は美しく可愛らしい面々だが、作中では、その美貌と見事な演技力で原作漫画の恐怖のキャラをさらに魅力的なものにしていた。