■未来を切り開いた六つ目の堕天使「ガンダムハルート」

 最後に『劇場版 機動戦士ガンダム00 ーA wakening of the Trailblazerー』に登場した「ガンダムハルート」を紹介しよう。

 搭乗するのは、互いに強化人間・“超兵”であるアレルヤ・ハプティズムとソーマ・ピーリスで、ソレスタルビーイング初の複座型の機体となった。アレルヤが機体操作、ピーリスが砲撃を担うことで可変機としての機動力と高火力の両立を実現した機体である。

 もともと機動性に富んだ機体ではあるが、最終決戦時には追加のブースターが搭載されているうえ、従来のガンダム同様に“トランザムシステム”も備えているため、その機動力の高さは測り知れない。

 極めつけに搭載された“超兵”としての能力を大いに解放できる“マルートモード”は、使用すると頭部が変形し、アレルヤ・ハレルヤ・ピーリス3人分の目を現しているかのような妖しく光る“六つ目”の表情へと変化するのだ。

 まるで全方位から降り注ぐ雨のように襲い来る、地球外生命体の“ELS”。そのなかを超高速で飛び回るアレルヤの動きに合わせて、正確な射撃をこなすピーリスの技量にも圧倒され、まさしく“超兵”である2人にしか成し得ない挙動であったと言えるだろう。

 現状の『ガンダム』シリーズに登場する複座型の機体のなかでは、パイロットの能力含めても「最強」であると言っても過言ではないだろう。

 

 コックピット内の2人の信頼関係が、戦場での命運を分ける複座型の機体。極限の状況をともにする2人のやりとりには独特の緊張感が漂い、視聴者も手に汗握る特別な演出の一つであると言えるだろう。

 主要キャラが搭乗する複座型の機体は、数あるシリーズを通しても稀有であるためなかなかお目にかかることはできないが、今後も続いていくであろう『ガンダム』の世界のなかで新たにどのような名コンビを生むのか、注目していきたい要素の一つである。

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