「ラゴゥ」に「スターゲイザー」、「ガンダムハルート」も…歴代『ガンダム』名コンビを産んだ“複座型の機体”の画像
バンダイのプラモデル『HG 1_144 R11 ラゴゥ』

 機動兵器MS(モビルスーツ)に登場しての激しい戦闘が魅力の一つである『ガンダム』シリーズ。基本的には一機につき一人のパイロットが搭乗し、通信によって母艦や各機との連携をおこなうが、なかには一機に2人のパイロットが搭乗し、作業を分担する複座型のMSも登場する。コックピット内の2人の連携が重要とあって名コンビも多く、MSの魅力とともに視聴者に強い印象を与えてくれるのだ。

 今回は『ガンダム』シリーズに登場した、印象深い複座型の機体をいくつか紹介していこうと思う。

■スーパーコーディネイターにも肉迫した砂漠を駆ける虎「ラゴゥ」

 まずは『機動戦士ガンダムSEED』に登場した、四足獣型MSの「ラゴゥ」を紹介しよう。パイロットは“砂漠の虎”の異名を持つザフト軍のアンドリュー・バルトフェルドと、その恋人アイシャである。

 指揮官機として開発されたラゴゥは、量産機であるバクゥと異なり前席に砲撃手であるアイシャが、後席に機動と格闘を担うバルトフェルドが乗る複座型が採用されている。遠距離でアイシャが牽制射撃をしている間にバルトフェルドが懐に飛び込む隙を探るという戦法で、虎が獲物を駆るが如くキラ・ヤマトのストライクガンダムを翻弄した。

 ストライクに右足を撃ち抜かれた際には、アイシャが「熱くならないで! 負けるわ!」とバルトフェルドの激情を沈める様子が見られ、コックピット内に運命共同体としての緊張感が漂っていた。

 バルトフェルドは戦況が劣勢になると部下とアイシャに即時撤退命令を出すが、アイシャは「そんなことするくらいなら、死んだ方がマシね」と、恋人として最後まで寄り添うことを選択する。そんなアイシャの覚悟を信頼してか、バルトフェルドも「では、付き合ってくれ!」と、まさしく騎虎の勢いでストライクに突貫するのである。

 ラゴゥは最終的にアーマーシュナイダーに貫かれるが、その際2人はコックピット内で抱きしめ合い、愛に満ちたまま爆散してしまうのであった。一話しか登場していないながらも、最後まで愛と仁義を貫いた2人を乗せた機体として視聴者に強烈な印象を残した機体である。

■エースパイロットでも虚を突かれる複座型の妙技「スターゲイザー」

 続いては、『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 -STARGAZER-』に登場した「スターゲイザー」を紹介しよう。パイロットは、セレーネ・マクグリフとソル・リューネ・ランジュの2人である。

 背部の巨大なリングに“ヴォワチュール・リュミエール”というシステムを搭載したスターゲイザーは、太陽風を受け、特殊なエネルギー変換によって得られた光圧を推進力とし永続的な航行をもって宇宙探査をすることを目的に開発されたMSだ。そのためスターゲイザーは戦闘用の機体でもなければ、AIによる無人機としての運用になるはずだったが、地球連合軍迎撃のために最低限の武装を持って出撃することを余儀なくされた。

 おもな操縦は前席のソルが務め、後席のセレーネはオペレーションを務めている。出撃時の稼働時間はフルパワーで17分しか持たず、エネルギーをセーブするためにも一機に対して一発で仕留めるようにセレーネが指示すると、ソルは見事にその要求に応え、超高速移動に回転も加えながら無双の勢いで次々と敵機を撃破していった。

 スウェン・カル・バヤンが乗るストライクノワールガンダムに苦戦を強いられ、ついにエネルギーが切れると、セレーネがソルを座席ごと強制的に脱出させ、スウェンが気を取られている隙にストライクノワールに取りつくことに成功する。

 これはソルを囮にしたという訳ではなかったが、結果的に複座型のスターゲイザーだったからこその奇策に成ったのである。

 作中での戦闘シーンは少ないが、ソルとセレーネの互いに対する信頼の深さが伺える活躍を見せてくれた機体である。

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