■人気アイドルの出演で話題に

 最後は、1982年に公開された実写化映画『ハイティーン・ブギ』を振り返る。同作は1977年に『プチコミック』で連載された牧野和子さん・後藤ゆきおさんの漫画を実写化したもので、当時大ヒットを記録した。

 少女漫画誌に掲載されていたことからもわかるように、『ハイティーン・ブギ』はヤンキー漫画ながら恋愛が主軸。主人公は複雑な過去を持ちながらも明るく生きる真面目な女子高生・宮下桃子で、暴走族のリーダー・藤丸翔に一目惚れされた彼女は、翔の熱意に負けて結ばれるというストーリーだ。

 映画版では主役は藤丸翔になっており、演じたのは近藤真彦さん。さらに田原俊彦さんが鳴海重を、野村義男さんがサミーを演じるなど、当時大ブレイク中だった「たのきんトリオ」が勢ぞろい。豪華な“スーパーアイドル”の共演で映画はもちろん、近藤さんが歌う主題歌『ハイティーン・ブギ』も大ヒットとなった

 宮下桃子を演じたのは、当時13歳でまだ駆け出しの女優だった武田久美子さんだったが、近藤さんには熱狂的ファンも多かったため、二人のキスシーンにはかなりのクレームが寄せられたのだとか。マッチ人気の凄まじさがわかるエピソードである。

 80年代のヤンキー漫画実写化映画の多くはほとんどの作品がヒットしたこともあり、この出演を機にその名が広がっていった俳優は多い。作品を見て、今とは違う初々しさを振り返ってみるのも面白いのではないだろうか。

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