■オシャレ度ナンバーワン!ファッション業界の裏側も覗ける『Paradise Kiss』
1999年からスタートした『Paradise Kiss』は『ご近所物語』の続編に当たる作品。引き続き服飾業界の物語ということもあり、ファッション誌『Zipper』で連載されていた。
同作のメインキャストである小泉譲二や実果子の妹・実和子らのグループ「パラダイス・キス」が生み出す洋服は、目を引く独創的なデザインが多い。
特にジョージのデザインは、こだわり抜いた繊細なディテールのハイセンスなものばかり。上品なゴシックロリータ調と言うべきか、バラ、レース、リルをふんだんに使い妖艶さとラグジュアリー感を兼ね備えていて、彼の作るドレスはこの上なく美しかった。
実和子のファッションは、ロリータパンクとフレンチガーリーが主流だ。姉のブランドもオリジナルで着こなしており、”甘×辛”のバランスが絶妙。そういったスタイルが好きな読者には、かなり参考になったのではないだろうか。
ストレートツインテールや縦ロールなど、毎日違うスタイルにアレンジしていたピンクの髪も、服装とマッチしていて可愛らしかった。
■クール&ガーリーのスタイリッシュなファッション『NANA』
”ナナ&奈々”という同名・同年齢の女の子を主人公にした『NANA』は、2000年にスタートして以来、根強いファンを抱える人気作品だ。そして、『NANA』と聞いて真っ先に浮かぶのが、シックなパンクロック&ガーリーファッションである。
同作のファッションは当時のトレンドを上手く取り入れており、全体的にスタイリッシュ。アクセサリーまで繊細に描き込まれており、作中のアイテムを実際に使ってみたくなるものばかり。
ボーカリスト・大崎ナナのファッションはブラックを基調としたパンクロックだった。チェック柄のミニスカにレザーのジャケット、ヒョウ柄やレースのキャミソールなど、尖ったセクシーさが全開である。ブランドではヴィヴィアン・ウエストウッドを好み、オーブのネックレスにアーマーリングなどのアイテムを身につけていた。
対照的に、もうひとりの主人公・小松奈々のファッションはレトロ感のあるガーリースタイル。女性らしいシルエットのワンピースが多く、モテコーデとしてマネしたくなる。
奈々はナナに出会ってからはグランジ系のファッションを着こなすようになるが、同系色の重ね着などが似合っていて、読者が真似したくなるようなコーディネートばかりだった。王道パンクスタイルのナナとは違い、とびきりおしゃれだが親近感のあるヒロインのファッションだった。
90年代の女子を夢中にさせた矢沢作品のファッションは、イラストを見ているだけでもワクワクするオシャレさだ。実際に彼女たちの服装を真似していたという読者は、筆者だけではないだろう。