ウエディングドレスとのコラボも話題!『NANA』『天使なんかじゃない』『ご近所物語』『パラキス』…矢沢あい漫画の「かわいすぎるファッション」の画像
Feelコミックス『Paradise Kiss』第1巻(祥伝社)

 矢沢あい氏の漫画『ご近所物語』と『NANA』と、株式会社クラウディアのウェディングドレスブランド「Lulu felice」がコラボしたウェディングドレスが今年発表され、SNSを中心に話題となっている。

 これらは『ご近所物語』の主人公・幸田実果子がファッションショー用にデザインしたドレスや、『NANA』の主人公・ナナがレンのライブに行った際に着用していた赤いワンピースをイメージしたもの。矢沢作品の世界観を落とし込んだドレスはどれも美しく、当時の読者が胸ときめいてしまうものばかりだ。

 矢沢作品を語るうえで欠かせないポイントは、絵の美しさだろう。登場するキャラはみな美女&イケメンで、なんとも言えない透明感がある。そして、もう一つ欠かせない要素がファッション。キャラクターたちの衣装は30年近く前の作品でも全く古臭さを感じず、令和でも通用するおしゃれなものばかりだ。

 今回は、多方面に刺激を与える矢沢作品のファッションを振り返ってみよう。

■キュートなレトロカジュアルとヘアアレンジに注目『天使なんかじゃない』

 1991年にスタートした『天使なんかじゃない』は、矢沢氏の代表作の一つ。私立聖学園を舞台に、個性豊かな生徒会メンバーの恋愛や友情を描いた青春物語だ。高校生活が主軸のため制服を着ている場面が多いが、着こなしやヘアアレンジがキャラによって違い、随所にちりばめられた矢沢作品ならではのおしゃれさに、当時憧れたという読者も多いのではないだろうか。

 中でも、主人公・冴島翠のヘアアレンジはバラエティに富んでいる。とりわけ印象的だったのは「ポンパドール」だ。これは前髪をふんわりと後ろに流して立たせた、おでこを出すスタイルで、翠の恋人である須藤晃のリーゼントヘアと並ぶとなんともお似合いになる髪型。筆者もそうだが、同作でポンパドールを知ったという読者も多いだろう。さらに、お団子やポンパ×外ハネの「トン子巻き」など、マネしたくなるアレンジだらけだった。

 90年代前半の日本はフレンチカジュアルが大流行していたが、同作で描かれるファッションもレトロ・フレンチカジュアルが多い。たとえば、翠のオーバーオール+チェックシャツ+ニット帽、ハイネックセーター+ロングワンピ+ハンチング+サボなど、今見てもおしゃれな気こなしばかり。

 他にも、彼女の丸襟のコートにミニワンピ+黒タイツ+黒マフラーといったコーデは、女の子らしくてデートに打ってつけだ。あらためて振り返ると、翠のファッションは現実に取り込みやすいものばかりである。

■オリジナルブランドが可愛い!個性派ファッションの玉手箱『ご近所物語』 

『天ない』終了後、ファッションが全面に押し出された作品としてスタートしたのが、『りぼん』1995年2月号よりスタートした『ご近所物語』。

 同作は矢澤芸術学院の服飾デザイン科に通いながらデザイナーを目指す幸田実果子が主人公。服飾業界が舞台ゆえ、登場キャラはみな個性的で自由なファッションを楽しんでおり、ギャルスタイルの中須茉莉子やストリートスタイルの田代勇介、パンクスの神崎リサなど色とりどり。

 矢沢氏いわく実果子のファッションは、60年代ポップを取り入れたミックススタイル。たしかに、大きな花柄のミニワンピ、ギンガムチェック、レースのベルボトム、へそ出しビスチェなど、レトロポップなアイテムのオンパレードだった。全体的にタイトで肌見せも多いので挑戦するのに勇気もいるが、あの自由さには憧れてしまう。

 カラーリングはビビットかパステルでまとめていて、配色バランスも完璧。さまざまな色を入れているのにごちゃごちゃして見えないのは、センスの良さの現れである。

 さらに作中で実果子は、オリジナルブランド「HAPPY BERRY」を立ち上げ、腕に磨きをかけていく。後に同ブランドは、ファッション誌『Zipper』で「HAPPY BERRY展示会」を行い、2019年には「jouetie」とのコラボラインも発売している。

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