■クリスタルキングのハイトーンボイスが響き渡る『北斗の拳』
『キャプテン翼』の『冬のライオン』や『聖闘士星矢』の『永遠ブルー』、『きまぐれオレン☆ロード』の『夏のミラージュ』など、80年代の『ジャンプ』アニメのエンディングはどこか寂しい気持ちになるような楽曲が使用されることが多かった。
同じような例として、1984年に毎週木曜19時から放送されていた『北斗の拳』の『ユリア…永遠に』を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。この楽曲は運命に翻弄されたケンシロウの、ユリアに対する愛を表現した、クリスタルキングによる曲。曲調はオープニングの力強さから一変したバラードで、クリスタルキングの美しいハイトーンボイスが切なさをかきたてる名曲だ。
そして、ラオウとケンシロウの対決に突入した物語終盤からは、エンディング曲がKODOMO BANDOが歌う『DRY YOUR TEARS』に変わる。こちらは『ユリア…永遠に』よりもさらにしっとりしたバラード。映像では暗い森に日が昇っていく様子が描かれ、本編での過酷な戦いの間のほんのわずかな休息を感じさせるような静かなエンディングになっていた。
かつてはアニメの世界観に合わせた「アニメのための曲」が多かったが、80年代に入ると、今回振り返った作品のように、タイアップやアーティストを起用した作品も増えていく。80年代のエモいオープニング・エンディング曲たちは、間違いなくアニソン史の変化の一端を担ったといえるだろう。