『ドラゴンクエスト』シリーズの中には、仲間に話しかけて会話を楽しむことができる作品もある。シリーズ当初はそんな機能がなかったが、リメイク版以降になるとセリフが追加され、キャラの心情が分かるのが面白かった。
筆者的に印象深かったのが、ファミコン版ドラクエキャラたちのやり取りだ。そこで、リメイク版のセリフで追加された場面を振り返ってみたい。
■妙にリアルなやり取りだった…アリアハンで旅立つ我が子を心配する勇者の母
まずは『ドラクエ3』から。この作品はリメイク版以降も、仲間キャラとの会話はできない。ちょっと残念ではあったが、代わりに主人公の母親にセリフが追加されていた。
主人公が死んだ状態でアリアハンに戻り、棺桶を持ってほかの仲間が母に話しかけると、「おお! なんてことでしょう! 私のかわいい ◯◯が……」と返してくる。
そりゃ、いきなり家に棺桶を持ってこられたらビックリ仰天だ。主人公はまだ16歳と、現実世界なら高校生程度。それで世界を救う旅をしているのだから、常に心配しているのが母親の心情たるものだろう。
そして、「で でも……あの人のように 火山に落ちて 灰になったわけじゃないわ!」と続ける母親。うん? “あの人”って夫のオルテガのことか? なんか言い方が妙にリアルだ。たしかに、灰になったと思われるオルテガの遺体を回収することは難しいだろう。
さらに母親は「どうか ◯◯を 助けてあげてください! 私のたった1人のこどもなんです」と訴えてくる。もちろん気持ちは分かるのだが、なんとなく「あの人は灰になったけど 自業自得だからしかたないわ」みたいに聞こえてしまい、オルテガが可哀想に感じてしまったのは筆者だけだろうか……。
■超毒舌キャラの老人…エンドール王にアホタレとボヤいたブライ
次は『ドラクエ4』から、魔法使いの老人キャラ・ブライだ。彼はアリーナ姫のお目付け役として一緒に行動しているのだが、リメイク版になると姫に懸命なクリフトと違って、何かと毒舌家で嫌味なキャラでもあることが分かったものだ。
それが一番リアルだったのは、エンドール王に対する言いぐさだ。エンドールといえば、世界の中心で大国である。サントハイム王家に仕えているからなのか、ブライは何かと対抗心を燃やしているのだろう。
第二章でエンドール王は、武術大会の優勝者を自身の娘と結婚させようとしている。王女からすればたまったものではない話なのだが、ブライに話しかけると「アホ……いやいや軽はずみな王のために 姫君がお困りとは むごい話です」と、なんと王様をアホ呼ばわり。
アリーナが武術大会に出場を決めたのは強い相手と戦いたいからであったが、さらに王女が無理やり結婚させられると聞くと、優勝して結婚話を無効にしてやろうとますます意気込む。
はしたないからとブライは反対だったのだが、もはやアリーナは止められない。町で武術大会を見るために多くの人が集まっていると聞くと、ブライは「見るだけで やめておけばよいものを……エンドール王のアホタレのせいで……ぶつぶつ」と、ここでもアホ呼ばわりのボヤキが始まる。
アリーナが優勝すると玉座に呼ばれるのだが、「アホ王のしりぬぐい とはいえ優勝自体は めでたきこと。姫。立派でしたぞ」と、ブライはご満悦の様子。だけど、最後までアホ呼ばわりされてエンドール王もちょっと可哀想に思えた。
そういえば、第三章でエンドール王の手紙を預かったトルネコにその手紙を見せると、「内容は大マジメですが おそろしく 汚い字ですね」とも言われていた。ずっと結婚式をしていたりと、何かと困った王様だった。