■面影ゼロ!? 性別すら変化した『鉄腕アトム』のエプシロン
最後は、1952年に始まった往年の名作『鉄腕アトム』から、エプシロンを振り返りたい。エプシロンは「地上最大のロボットの巻」に登場した世界最高峰の7人のうちの1人で、孤児院で働く心優しい保父ロボットだった。
善良な心を持っているため戦いも好まず、7人の中では最後にプルートウと対面する。強力な光子エネルギーを原動力にしていて、パワーでいえばプルートウを凌駕していたエプシロン。プルートウを追い詰め沈めることに成功するも、優しい性格のせいでプルートウを助けてしまい、最終的には逆に弱点を攻められて殺されてしまう。
原作でのエプシロンは、体格がよく黒ベースのユニフォームと頭のてっぺんについたアンテナが印象的だった。「保父」であり、自分のことを「おじさん」と言っていることからもわかるように、性別は男である。
そんなエプシロンがとんでもない変化を遂げたのが、2003年に放送された『ASTROBOY鉄腕アトム』だ。同作のエプシロンはオリジナルの面影すらなく、完全に新キャラになっていた。
まず、性別が男性から女性にチェンジ。外見もボブヘアにセクシーなレオタードを着た女性型ロボットになっていた。髪がなびいていたり表情があったりと、人間のように見える部分が多く、ロボット感はかなり薄い。
さらに頭のてっぺんのアンテナもなくなり、黒がベースだったカラーリングも全体的に緑に変更された。設定も大きく変わり、保父ではなく環境観測員として働いている。心が優しく戦闘を好まないという点だけは、原作と共通しているところだ。
リメイクアニメの多くはサブスクで配信されているので、名前は知っているけど見たことがないという若者も、リアルタイムで見ていた大人も、改めてチェックしてみてはいかがだろうか。