ファミコンやメガドライブとしのぎを削った家庭用ゲーム機・PCエンジン。1987年10月の発売当初はグラフィックスが話題になったハードでしたがタイトル自体が少なく、覇権を獲るとまではいきませんでした。しかし、しばらくしてPCエンジンが欲しくなるようなキラーソフトが現れました。それが、当時アーケードで大人気を誇ったシューティングゲーム『R−TYPE』の移植作である『R−TYPE I』(ハドソン)です。
■無敵のフォースと波動砲、そして巨大なボスで一世を風靡した『R−TYPE』
『R−TYPE』はアイレムが1987年にアーケードゲームとしてリリースした横スクロールシューティング。通常のショットとショットボタン長押しして放つ強力な波動砲と、完全無敵のオプション兵装「フォース」を駆使して全8ステージクリアを目指す名作シューティングで、美しいグラフィックスと巨大なボスで、フォースや波動砲を駆使した戦術的なシューティングとして人気を博しました。
それがPCエンジンに移植されると発表され、大きな話題となりました。移植されること自体も大ニュースでしたが、それ以上に1988年3月25日に『R−TYPE』の前半4ステージを収録した『R−TYPE I』、そして同年6月3日に後半4ステージを収録した『R−TYPE II』と1本のゲームが2本に分けて発売されるという前代未聞の分割販売方法だったからです。
■前代未聞の前後編ソフト! しかし、デキは最高峰!
前作の続きが楽しめる続編やスピンオフといったシリーズ化したゲームはありますし、今年2月にPS5用に発売された『ファイナルファンタジーVII リバース』(スクウェア・エニックス)や、それよりはるか以前に『ファミコン探偵倶楽部』(任天堂)のように前後編で物語が構成されたゲームもあります。
しかし、それらの前にアーケードゲームが、しかもシューティングジャンルのゲームが前後編で発売されるという前代未聞の事態に「容量的にしかたない」「1と2を買うと1万円近くもかかる」「そもそもちゃんと移植できるのか?」と、プレイヤーの間でも賛否両論ありました。
しかし、1作目となる『R−TYPE I』が発売された後、それらは全部吹き飛びました。まさに「R−TYPEがそのまんま移植されている」といってもいいほどの完成度だったからです。